2023年3月4日 / 最終更新日 : 2023年3月14日 times 因島土生町 短編小説ショパンの調べ【14】宇和部桟橋 シーサイドホテルでの披露宴が終わり、皆が桟橋で、船の来るのを待っていた。 英雄以外の人と、何処へ行ってみても楽しい筈がないと思い、静子は山口へも行った事がないから、山口へ行くのを、新婚旅行の代わりにしたいと無理を言って、 […]
2023年2月18日 / 最終更新日 : 2023年3月6日 times 因島土生町 短編小説ショパンの調べ【12・13】いんのしまシーサイドホテルで結婚式・披露宴 結婚式は、車で10分程の所にある、海の傍に建っている、白亜の洒落たシーサイドホテルで行われる。 本来なら、新郎の住んでいる山口で、行われるべきなのだが、新婦の疲労を考えて、因島でする事になった。 最初、叔母は、叔母の家で […]
2023年2月11日 / 最終更新日 : 2023年2月18日 times 松本肇短編小説 短編小説ショパンの調べ【11】花嫁人形 その日は、朝から雨が降っていた。瀬戸内海に浮かぶ温暖な因島では、年間を通じての降雨量も、目立って多くもなく、そう頻繁に雨を見る事は少ない。 「折角の結婚式の日に、寄りによって雨なんか降らなきゃいいのにね。何か不吉な事が起 […]
2023年2月4日 / 最終更新日 : 2023年2月12日 times 松本肇短編小説 短編小説ショパンの調べ【10】 静子の思いとは裏腹に、式の準備は着々と出来ていた。結婚を知った近所の人や、友人、知人達からも、祝いの品物が届けられ、床の間に積まれていた。箪笥のセット、婚礼布団、着物なども店から到着し、家の中はもう道具が一杯で、足の踏み […]
2023年1月28日 / 最終更新日 : 2023年2月12日 times 因島中庄町 短編小説ショパンの調べ【9】金蓮寺の井戸 静子は、もうこれが英雄とこの世で会える最後の日と思い、中庄町の金蓮寺への道へ、二人で歩いていた。ここは、村上水軍の菩提寺で、水軍武将の夢の後が偲ばれる。 また、因島市内から出土した土器などを収めた因島市の史料館が建ってい […]
2023年1月21日 / 最終更新日 : 2023年1月30日 times 松本肇短編小説 短編小説ショパンの調べ【8】 「お姉さん、なんであんな男の所へなんかお嫁に行くの?英雄さんの事、愛してるんでしょ。だから、叔母さんの口車に乗って、会ったりするから一度が二度に二度が三度になり、こんな事になってしまったんだわ。私への遠慮から?そんなんだ […]
2023年1月14日 / 最終更新日 : 2023年1月20日 times 松本肇短編小説 短編小説ショパンの調べ【7】 今、静子は日下拓也と、尾道の千光寺公園にある、文学のこみちを歩いていた。「1日位、観光案内をしてあげておくれ」という、叔母のお膳立てで、その日の時間も全て決められていた。 かつて、林芙美子が『放浪記』で、尾道への望郷を綴 […]
2023年1月7日 / 最終更新日 : 2023年1月20日 times 因島三庄町 短編小説ショパンの調べ【6】地蔵鼻 海のすぐ傍に、真水の出る深さ1メートル位の不思議な井戸がある。その、水の浜の砂浜を歩き乍(なが)ら、英雄と静子は地蔵鼻岬へと、向かっていた。 かつて村上水軍が、岬で沖合を通る船の見張りをしていた所、1隻の船から琴の音色が […]
2022年12月17日 / 最終更新日 : 2022年12月29日 times 松本肇短編小説 短編小説ショパンの調べ【5】 『元気で暮らせよなんて優しい言葉言って欲しくなかったわ』 静子は台所に立って、包丁を使っていると何時の間にか、『遣らずの雨』が口から出てハッとした。この歌が好きで、英雄と会っている時も、ふと気がつくと、口ずさんでしまう事 […]
2022年12月10日 / 最終更新日 : 2023年4月8日 times 松本肇短編小説 短編小説ショパンの調べ【4】 叔母が、一方的に奨めた見合いの日がやってきた。今までは、唯、断り続けていたのに、今回は相手と会うという事で、叔母は上機嫌だった。 見合いは叔母の家で行われた。静子は、普段着のワンピース姿で行こうと思っていたが、叔母からの […]
2022年12月3日 / 最終更新日 : 2022年12月29日 times 松本肇短編小説 短編小説ショパンの調べ【3】 日曜の朝10時を少し過ぎた頃、英雄はやって来た。静子の父も母も、妹の芳江も英雄に対して好意的で、二人の交際に対して、とやかく言う者は、誰も居なかった。 英雄の後ろについて、初めて相手の家に向かっている静子は、段々と不安に […]
2022年11月26日 / 最終更新日 : 2022年12月7日 times 因島三庄町 短編小説ショパンの調べ【2】 夜10時が近づくと、仕掛け花火が始まって、3時間程の花火の祭典は、終わる。 ナイヤガラの滝の仕掛け花火が、対岸の生名島に写しだされると、観衆からは口々に、溜息にも似た歓声が上がった。 帰りは、タクシー乗り場にも行列が出来 […]
2022年11月12日 / 最終更新日 : 2022年11月29日 times 松本肇短編小説 短編小説ショパンの調べ【1】 島が燃えているのかと、見間違える程の花火の競演だ。 国鉄尾道駅で下車し、連絡船に乗り換え1時間20分位の所に位置する、瀬戸内海に浮かぶ人口、約4万の因島では、毎年旧暦6月16日に「宮島さん」と呼ばれる花火大会が行われる。 […]
2022年11月5日 / 最終更新日 : 2022年11月15日 times 松本肇短編小説 短編小説ユトリロの街【14】最終回 千光寺山荘に着くと、健吾は麗香の肩を抱いて、フロントに向かった。 受付では、親子に見えるだろうか。それとも、許されぬ恋に見えるのだろうか。 あの時と、同じ部屋が空いているか訪ねた。宿泊者ノートを調べてくれていた受付嬢が、 […]
2022年10月29日 / 最終更新日 : 2022年11月7日 times 松本肇短編小説 短編小説ユトリロの街【13】 「あんただ!あんたのせいで、お嬢さ…イヤ麗香は変になったんだ。前の麗香さんに返してくれよ!」 健吾の顔を見るなり、辰也が一気にまくしたてた。 麗香からの連絡が途絶え、こちらから携帯や山荘へかけても、受話器を取る事はなかっ […]
2022年10月22日 / 最終更新日 : 2022年11月1日 times 松本肇短編小説 短編小説ユトリロの街【12】 麗香は三宮から神戸に行き、新神戸から新幹線で新尾道迄帰った。 丁度待っている尾道バスに乗り換え、因島土生港前で下車した。 そこに4、5台止まっているタクシーの、一番前の平和タクシーで、自宅を通り越し、山荘で降りた。 愛の […]
2022年10月8日 / 最終更新日 : 2022年10月19日 times 松本肇短編小説 短編小説ユトリロの街【11】 三宮の駅を降り、交差点を渡って西へ50メートル位戻った所に、健吾の店『アリス』はあった。30代も半ば位だろうか、女の従業員が接客している。 民芸品のバッグから靴、ミサンガ、ゴブラン織りのタペストリーなど、お洒落に置いてい […]
2022年10月1日 / 最終更新日 : 2022年10月11日 times 松本肇短編小説 短編小説ユトリロの街【10】 この髪をこの唇をこの頬を触れし人よ君は神戸に 健吾さんに会いたい、何も話さなくてもいい、じっと傍に居るだけで幸せなのに、昨日別れたばかりなのに、何故か胸がしめつけられる。イーゼルを立て、キャンバスを置いても、絵筆が思うよ […]
2022年9月24日 / 最終更新日 : 2022年10月3日 times 松本肇短編小説 短編小説ユトリロの街【9】 5分もしない内に、千光寺山ロープウェイ山頂駅に着いた。文学の小道を歩きながら行くと、志賀直哉の暗夜行路の一節や、林芙美子の放浪記の一節を彫った石碑が並んでいる。朱塗りの本堂のある、千光寺の境内の椅子にはヒ毛氈が敷かれ、お […]
2022年9月17日 / 最終更新日 : 2022年10月3日 times 松本肇短編小説 短編小説ユトリロの街【8】茶房こもん 芙美子像を左に見ながら、車は駅前のしまなみ交流館にある駐車場に止めた。 バスターミナルに行くと、赤と緑のツートンカラーのレトロなバスが止まっていた。好きっぷラインといって、観光地近くのバス停を巡回してくれるという。健吾と […]
2022年9月10日 / 最終更新日 : 2022年10月3日 times 因島大浜町 短編小説ユトリロの街【7】因島大橋 白滝山の山頂で、360度瀬戸内の見渡せるパノラマで、健吾と四国山脈を見た日から、1ヶ月程たった3月も終わりに近い土曜日、麗香は健吾の運転する車に乗り、尾道へと向かっていた。 青影トンネルを抜け、因島インターチェンジを過ぎ […]
2022年9月3日 / 最終更新日 : 2024年12月1日 times 松本肇短編小説 短編小説ユトリロの街【6】恋し岩 福山大学マリンバイオセンターを右に、大浜を通り過ぎ、白滝フラワーラインを登って、途中の駐車場で車を止めた。 細い山道を、五百羅漢を見ながら登っていると、観音堂があり、恋し岩という岩が奉られていた=写真。 昔、重井(しげい […]
2022年8月27日 / 最終更新日 : 2022年9月8日 times 松本肇短編小説 短編小説ユトリロの街【5】 シルバーのメルセデス・ベンツが、釜の浜を左に走って来る。 「健吾さんだ、健吾さんの車がやって来た。」 ユトリロ展で別れて、一週間程たったある日、教えていた携帯電話に、健吾から連絡があった。 尾道大学の美術学科3年の麗香は […]
2022年8月13日 / 最終更新日 : 2022年8月24日 times 因島市民会館 短編小説ユトリロの街【4】 一通り見て回った後、3人で因島市民会館を後にした。さっき車を置いた、芸予文化情報センターの駐車場へ行くと 「辰也さん、先に帰ってて」 わざと言ったにしろ、突然麗香が自分の名前を呼んだので、辰也は顔を赤くし、鳩が豆鉄砲を食 […]
2022年8月6日 / 最終更新日 : 2022年8月15日 times 因島市民会館 短編小説ユトリロの街【3】 初日という事もあってか、因島市民会館の場内は結構混んでいて、30人位の人達が静かに鑑賞していた。 『サンノアの通り』『コタン小路』『オルシャン街』…と見ていっている内に、さっきから足を止め、一点に見入っている、50歳前後 […]
2022年7月30日 / 最終更新日 : 2022年8月11日 times 因島市民会館 短編小説ユトリロの街【2】 中2階にあるロフトから、急いで階下に降りて行くと、受話器をとった。 「佐伯?すぐに来て頂戴、急いでネ」 「ハイ、かしこまりましたお嬢様」 佐伯辰也は、麗香より5才年上なので、今年25歳になる筈だ。 父の氷室剛造が、因島で […]
2022年7月23日 / 最終更新日 : 2022年7月31日 times 松本肇短編小説 短編小説ユトリロの街【1】 麗香は風のささやきを、聞いたような気がした。それはサワサワと、時には強く時には弱く心地よく耳に響いていた。眠っているでもなく、又、起きているのでもなく、いわば半寝の状態が麗香の一番好きな時だ。 サイドテーブルの上に置いて […]
2022年7月23日 / 最終更新日 : 2022年7月31日 times 松本肇短編小説 新連載「ユトリロの街」筆者・松本肇さん(因島三庄町) 今号から新連載「短編小説ユトリロの街」が始まる。 この作品は、因島三庄町在住の松本肇さんが昨年1月自費出版した同名の短編小説集に収録されている7編のうちの一つである。松本さんは「コロナ禍でみな不自由さ、困難さを抱えている […]
2022年3月26日 / 最終更新日 : 2022年11月15日 times 本・書籍・カレンダー 童話集「海のカメリア」出版 松本肇さん(因島三庄町) 因島三庄町在住の松本肇さんが1月26日、小説「ユトリロの街」に続いて童話集「海のカメリア」を自費出版した。「子どものから大人まで楽しんでください」という。9編のオリジナル童話で構成、全66頁。定価800円。ギャラリー喫茶 […]
2021年6月19日 / 最終更新日 : 2023年12月6日 times people 短編小説集「ユトリロの街」出版 松本肇さん(因島三庄町) 因島三庄町在住の松本肇さん(76)は1月、短編小説集「ユトリロの街」を自費出版した。会員制交流サイト(SNS)のFacebookで1年間連載した7編をまとめたもの。 「コロナ禍でみな不自由さ、困難さを抱えている。この世の […]