短編小説ショパンの調べ【10】

静子の思いとは裏腹に、式の準備は着々と出来ていた。結婚を知った近所の人や、友人、知人達からも、祝いの品物が届けられ、床の間に積まれていた。箪笥のセット、婚礼布団、着物なども店から到着し、家の中はもう道具が一杯で、足の踏み場もない位になっていた。

「結婚するって、こんなに揃えなけりゃいけないの。もっと簡単に、出来ないものかなぁ」

流石に呆れて、妹の芳江が言った。

「何言ってんの、静子が向こうに行っても、肩身が狭い思いをしない様に、一応は人並みな事だけは、しておかないとね」

母の頼子が、溜め息をつきながら、言っている言葉を静子は、複雑な思いで聞いていた。

私は愛に貧しいシンデレラ

いくら待っても魔法使いのお婆さんは来てくれない

カボチャの馬車も届かない

私は屋根裏に住むシンデレラ

でも硝子の靴を届けてくれる

王子様は現れない

童話の世界では、ハッピーエンドになる物語でも現実ではそうもいかないものだと、静子は思った。これが、明日嫁ごうとする花嫁の結婚前夜の気持ちで、いいものだろうか。静子は英雄を裏切ったのと同じ様に、拓也も裏切る事になるという事に、気が付く余裕はなかった。

周りの中で、唯、叔母だけが一人、はしゃぎ回っていた。

松本肇(因島三庄町)

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