因島で見た野鳥【150】エゾビタキ
エゾビタキは、ヒタキ科サメビタキ属の一種で、スズメとほぼ同じ大きさで、因島で見た姿を写真①②に示す。
サメビタキ属では、コサメビタキ、サメビタキとエゾビタキがよく知られている。本連載【143】コサメビタキで述べたように、いずれも、目が大きくて、アイリングが白く、愛らしくみえる鳥で、鮫皮の色をしているのでサメビタキと呼ばれた。
コサメビタキは、九州以北に夏鳥として渡来し繁殖し、サメビタキは中部以北の高い山に渡来し繁殖する。エゾビタキは、シベリヤ南部、樺太、カムチャッカ半島南部で繁殖し、日本では繁殖しない。越冬地は、台湾、フィリピン、ジャワ島などで、旅鳥として春、秋の渡りに日本列島を通過するが、秋の渡りで見ることが多いようである。
エゾヒタキ(全長14.5cm)、サメビタキ(13.5cm)、コサメビタキ(13cm)はよく似ているが、エゾビタキが3種の中では最も大きい。3種とも、雌雄同色で、顔、頭部から尾までの上面は灰褐色で、喉からの体の下面は白い。コサメビタキの下面はほぼ白色で、サメビタキの下面は胸から脇にかけて灰褐色、エゾビタキは、白い下面に明瞭な暗褐色の縦斑がある。
写真①は、エゾビタキの下面の写真で、縦斑がよくわかる。クチバシの基部が幅広で、二等辺三角形に見える。
エゾビタキの英名はGrey-streaked Flycatcherで、「灰色の筋が入っているFlycatcher」ということになる。Flycatcherは、本連載【146】サンコウチョウで述べたが、枝から飛び立って、空中を飛ぶ昆虫を捕らえる鳥のことで、写真2は、虫を捕った直後のエゾビタキである。
エゾビタキは、蝦夷(エゾ)地で多く見られる鳥かと思いきや北海道では珍しい鳥とされている。千島列島は繁殖地であり、いわゆる北方四島も繁殖地に含まれている(The IUCN Red List of Threatened Species,Grey-streakedFlycatcher)が、北海道では繁殖しないとされている。「北の方から飛んで来る」、あるいは、「北の方へ飛んで行く」という意味かもしれないが、和名の由来はよく分からなかった。
エゾビタキを、筆者は2021年の秋に初めて見たが、写真に撮ることはできなかった。2022年の秋には、筆者以外に3人の知人が、それぞれ、別の場所で撮影している。この秋は、因島周辺を大きな群れが通過したのかもしれない。
(10月22日・記)
写真・文 松浦興一
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