短編小説ユトリロの街【4】

芸予文化情報センターの駐車場

一通り見て回った後、3人で因島市民会館を後にした。さっき車を置いた、芸予文化情報センターの駐車場へ行くと

「辰也さん、先に帰ってて」

わざと言ったにしろ、突然麗香が自分の名前を呼んだので、辰也は顔を赤くし、鳩が豆鉄砲を食った様に、目を丸くした。

「健吾さん、お茶をご馳走させて」

麗香はそういうと、因島市民会館の前の坂を下りて行った。花屋『花水木』の角を曲がって信号を渡り、海辺の方に行くと、喫茶『マロニエ』がある。二人は、一番奥の対岸の、生口島の見える場所を選んで腰掛けた。

「この通りは何て所?」

ホットを注文して、コップの水を一口飲んだ後、健吾が言った。

「ユトリロ通り」

「え?」

「嘘よ、嘘に決まってるわ、今私が勝手に付けた名前」

「それじゃあ、二人の間では、今日からここをユトリロ通りという事にしておこう」

あれだけ降り続いていた雪が、いつの間にか止んでいた。

松本肇(因島三庄町)

【イメージ】生口島がみえる喫茶店。写真はカフェテラス菜のはな(因島田熊町)

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