短編小説ショパンの調べ【16】大浜崎灯台の除虫菊

椋浦、外浦、鏡浦、大浜と、四つの港に寄ると、尾道に着く。

明治27年に点灯されたという、大浜崎の灯台も、後2年すると本州と四国を結ぶ、本四架橋の下になる為、長い間点し続けてきた灯も、消えるという。静子は、大浜崎灯台も自分も、似た様なものだと思っていた。

あれは5月だった。この灯台に、足を運んだのは。周りは、除虫菊の花が真っ盛りで、細い道を英雄の後をついて行った。
遅れない様にしていたのに、ふと気が付くと、すぐ前を歩いていた英雄の姿が消えていた。

英雄さ~ん、英雄さ~ん…と大きな声で呼んでも返事がなく、泣きべそをかいていると、除虫菊の中から出てきて、『泣きべそシズコ』と言って、笑いながら駆けて行った。

その後、灯台の下で弁当を食べた時、ハンバーグよりも肉じゃがの方を喜んで、「これなら、何時でもお嫁さんになれるね。」と、言っていた英雄の声が、まるで昨日の事の様に、思い出された。

松本肇(因島三庄町)

大浜埼灯台付近の除虫菊畑。昭和30~40年代頃の写真

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