ふるさとの史跡をたずねて【365】慈母観音(尾道市因島重井町白滝山)

慈母観音(尾道市因島重井町白滝山)

初代慈母観音である=写真㊨。ただし「初代」の文字はどこにも書いてないし、二代目がずっと後になってできたのだから作者にも初代の意識はなかったであろう。

その初代慈母観音はさらに表参道を登り、山門をくぐったところの正面の大岩にある。それもその位置から見た正面左隅であるからすぐにわかる。

この大岩とそれに掘られた数体の磨崖仏は、どういう構想の下に作られたのかは、記録がなくただ唖然として、その稀有な構成に感嘆するばかりである。この岩の上には多宝塔=写真㊧=が載っている。その構成もまた奇抜であるが、今回は巨岩の周囲の磨崖仏について見てみよう。一つ一つの作品に作者の銘が掘られているので、白滝山五百羅漢の建設に関わった石工が、一人一作を競ったようだ。もし、これが依頼された仕事でなく「各自好きなものを掘ろう」と、自発的に腕を競ったものであるとすると、誠に職人気質を上回る芸術家精神を発揮したものであろうと思われる。

さてこの初代慈母観音は山門から見て左側の稜に掘られており、左下の長方形の部分に「石工新七」と掘られている。見れば見るほど二代目慈母観音と似ており、二代目がモデルにしたと想像される。

写真・文 柏原林造

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