尾道市三軒家町の和製ガウディの館から、全舞式掛時計を3台、修理のためお預かりしてきました。
一台目は、文字盤が大きい掛時計です。
時間が見やすいので、会社や事務所などの広い部屋に掛けられていました。
時計としては、これが一番古そうです。
昭和の初期の建物ですから、明治などの古い時計ではないと思います。
大正時代の可能性はありますが、分解してよく調べることにしましょう。
2代目は、文字盤の周りが八角で、蛇の目模様の文字盤です。
定番の掛時計と言うデザインです。
日本製ですが、ガラスが割れています。
ヤマダクロックマニファクチュアリと、時計の中には書かれています。
時打ちの全舞が、切れているようですが、他の傷みは無いようです。
精工舎(セイコウシャ)現在の、SEIKO製です。
セイコーは、腕時計は、全舞式がありますが、掛時計には全舞式は販売していません。
本打ち式といって、時計の針を、ぐるぐる急いで廻して、時間を合わせても、短針の表示した時間と、実際に、時を鳴らして告げる時間とが、狂わない仕組みの時計で、この3台の中では、一番新しい時計です。
残念ながら、歯車が傷んでいるようで、全舞式を巻くと、歯車が高速で回って、全舞が、もどってしまいます。
歯車のダメージが大きいと、修理が出来ないので、まずこちらから、修理してみましょう。
素人の皆さん。全舞式の掛時計は、全舞の力は、かなり強力ですから、知識なく分解はしないで下さい。
特に蓄音機や、大型のオルゴールは、特に危険です。
全舞が、ケースの中に入っている物は、少し危険度が下がりますが、それでも、分解のポイントを知っていないと、怪我をしますし、時計にダメージを与えてしまいます。
機械を時計のケースから出したら、まず、全舞を、針金か専用工具で締め付けてしまいます。
その時に、全舞式のサビに注意をしましょう。
錆びていると、そこから全舞がきれて、切断面が、鋭い刃物と同じようになります。
それが、貯めていた力が、一気に放出されるので、刃物と同じ断面部で、大怪我をします。
念のために、最悪の事態を想定して、防護眼鏡を掛けておくほうが良いでしょう。
全舞巻に、専用の工具を取り付けて、全舞のコハゼのバネをはずし。
ゆっくりと、ゆっくりと、全舞の力を、解放します。
この時でも、全舞が切れることを想定して、厚めのエプロンをし、腹部をプロテクトしましょう。
古い全舞式の掛時計の修理は、危険と隣り合わせです。
ご注意! ご注意!