因島で見た野鳥【174】ツミ

写真は、石田憲ニさん(尾道市因島土生町)が、昨年(2024年)2月中旬に、因島で撮影したもので、ヒヨドリ大に見えたとのことで、ツミと考えられ、「因島で見た野鳥」のリストにツミを加える。
ツミは、タカ科ハイタカ属の1種で、メスが30㎝、オスが27㎝で、オスはヒヨドリ大。日本の猛禽類は、タカ目26種とハヤブサ目8種いるが、ツミは、これらの猛禽類の中で最小の鳥の一つである。本州以北で繁殖し、因島での生息数は不明であるが、留鳥か旅鳥であろう。
ツミは、上面は灰色で、オスの腹面は淡い赤褐色を帯びており、メスの腹面は白く淡い灰褐色の横斑がある。ハイタカによく似ているが、ずっと小さく、ハイタカは白い眉斑が目立つが、ツミの成鳥には眉斑はない(中村登流、野鳥の図鑑 陸の鳥2、保育社、1986年、84頁)。
しかし、幼鳥のツミには眉斑がある(平野敏明 Bird Research News Vol.2 No.2、2005年2月)。写真のツミは、眉斑が明瞭なので、幼鳥である可能性が高い。
植田睦之(Strix 11:131~136頁,1992年)の観察によると、ツミの獲物は、主に小型の鳥であるが、大きいものではドバトを狩ることもある。一つがいが、繁殖地に定着して、ヒナを巣立ちさせるまでの間に捕獲した獲物は、約350羽と推定されている。
古くは、メスを「つみ」とよび、オスは「えっさい」とも呼ばれていた(鳥名の由来辞典、菅原・柿澤、柏書店、2005年)。
鎌倉時代の公卿・歌人衣笠家良の歌に、「とやかえるつみをてにすゑあはつののうつらからむとこのひくらしつ」( 新撰和歌六帖、https://lapis.nichibun.ac.jp/waka/waka_i067.html )とツミによる鷹狩りの場面が歌われている。
ちなみに、「とやかえる(鳥屋かえる)」は、鳥の枕詞で、「あわつ」は琵琶湖湖畔の粟津のこと。「うつらからむ」は、ウズラ狩、「このひくらしつ」は、今日1日を過ごしたの意である。我々がスポーツを楽しむように、ツミのメスを腕に乗せ、鶉狩りを楽しんだのであろう。
ツミの情報と写真提供をいただいた、石田憲ニさんに謝意を表します。
文・松浦興一 写真・石田憲ニ
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