因島で見た野鳥【160】カルガモの雌雄判別

カルガモは、年間を通して因島で見る大型のカモで、春から夏にかけてヒナを育てている姿を見ることができる。本連載でも、【22】【94】【113】でカルガモを取り上げた。

しかし、羽衣は雌雄で酷似しており、野外で見た時には、雌雄を明確に識別するのは難しい。

冬には、大きな群れで過ごしているが、繁殖期が近づくと、2羽のカルガモが寄り添ったように行動している姿を見ることが多い。この2羽が、ペアなのか、たまたま2羽で行動しているのか分からず、もどかしい思いをすることがある。

そこで、論文「今村知子・杉森文夫著”羽色に基づく繁殖期のカルガモの雌雄判別”(山階鳥研報、21:247~252、1989)」に基づいて、観察したカルガモの雌雄判別を試みた。

今村らは、雌雄を確認できたカルガモ100羽近くの検体について、羽衣の特徴を調査した。その結果、次のようなことが分かった。

オスの上尾筒と下尾筒は、光沢のある黒色で、メスのそれらは、黒褐色で淡色の縁取りがある羽毛がある。腹の部分にも雌雄で明瞭な相違がある。調べた個体の大部分は繁殖期の個体であるが、少数の非繁殖期の個体もその特徴は同様であった。

私たちが野外で観察しているときは、下尾筒や腹部を見ることは稀であるが、上尾筒を見ることは多い。そこで、上尾筒の特徴から、筆者が観察した個体の雌雄判別を試みた。

写真①は、本連載【22】で取り上げたカルガモ親子の写真である。ヒナを先導するのは明らかにメスと考えられ、上尾筒は黒褐色で淡色の羽縁がある羽毛を確認できて、今村らの結論と一致する。手前のカルガモの上尾筒は黒色で淡色の羽縁がある羽毛はなく、オスと判定できる。ちなみに、オスは育雛には関与しないので、このオスは、偶然そばにいた個体である。ヒナを育てている別のメスを数例撮影しているが、いずれにも「淡色の羽縁」を確認できた。

写真①ヒナを連れたカルガモ・メスの上尾筒

写真②は、繁殖期の5月2日に撮影した2羽のカルガモの例である。前方の個体の上尾筒は黒色で、後方の個体の上尾筒には「淡色の羽縁」がある。このことより、前方がオス、広報がメスと判別できる。

写真②カルガモの上尾筒による雌雄判別

鳥の姿勢で上尾筒を見られないこともあるが、今村らによる上尾筒での雌雄判定は、野外観察でも有用であると思われる。

文・写真 松浦興一

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