因島で見た野鳥【170】コガモの季節移動

現在までに因島で観測されたカモ科の鳥は16種で、カルガモ以外は、冬鳥である。コガモ(小鴨)は、全長38cmの小型のカモで、キジバトより少し大きい。9月の初旬から渡来が始まり、6月初旬でも見ることがあり、カモの中では、最も早く渡来し、最も遅く渡去する。コガモは、本連載(月)ですでに紹介したが、移動のルートと因島での様子などを4回に分けて、紹介する。

渡り鳥の移動は、足に標識をつけて放鳥・回収する標識調査で調べられている。環境省が山階鳥類研究所に委託して1961年から現在まで続けられ1995年までの結果は鳥類アトラスとして公表され、2011年までの結果を含めたデータは鳥類アトラスWEB版で見ることができる。

鳥類アトラスのコガモの調査結果の一部を図①に示す。

図①コガモ アトラス

図中の矢印と「カリフォルニア」の文字は筆者が記入した。黒丸は放鳥地点、黒い4角形は回収地点を示す。国内で放鳥されたコガモは、殆どはロシア連邦の北東部で回収されている。7月にロシア連邦の北緯65度で放鳥されたコガモは、12月に群馬県で回収され、ロシア連邦北東部の繁殖地から越冬のため日本に渡来したことを示す。1例だが、1月に埼玉県で放鳥されたコガモが、翌年の1月に米国カリフォルニア州で回収されている。おそらく、このコガモは、埼玉県から繁殖地に渡り繁殖後、越冬地としてカリフォルニアに渡ったと思われる。

図②は、コガモ生息数の季節的な変動を表すグラフである。

図②コガモの季節移動

「バードリサーチ:カモの季節移動に関する報告書2008-09年/2009/-10年」より、越冬地の一つである広島県の八幡川河口と、渡りの中継地の一つである北海道・道東の風蓮湖のデータを、筆者が一つのグラフにした。

実線が八幡川河口のコガモ数で、波線が風蓮湖のコガモ数である。コガモの季節的移動を次のように推測できる。中継地では、9月に入るとコガモが繁殖地から集まり、10月には越冬地に渡り始めて減少し、12月には全て越冬地へ飛び去り、3月に入れば、繁殖地を目指したコガモが、再び、集まり始め、やがては、グラフにはないが、繁殖地へ渡去してコガモがいなくなる。越冬地では、9月中旬頃からコガモの渡来が始まり、翌年の4月頃から渡去が始まる。この様子は因島で見る様子とほぼ一致している。

因島に渡来するコガモの多くは、非繁殖羽で渡来して、因島で越冬中に、繁殖羽への換羽が始まり、繁殖地への旅立つときには、繁殖羽になっている。その様子を次回に紹介する。

文・写真 松浦興一

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