「社会を明るくする運動」入選作文【1】人間の「ストライクゾーン」を広く持つ
尾道地区保護司会(木村修二会長)が行った第73回「社会を明るくする運動」作文・標語コンテストで表彰された作文を掲載する。
人間の「ストライクゾーン」を広く持つ(小学校の部 尾道市長賞・広島県入選)
栗原小学校6年 黒瀬和希さん
ぼくの住んでいる地域には、昔から住んでいる人が多い。一緒に住んでいるおばあちゃんや近所の人達はみんな顔見知りである。近所の人とよく立ち話をしたり、野菜やお菓子を持って行き来したりしている。僕のお父さんが子供だったときのこともよく知っている人達ばかりだ。
犯罪や非行などについてぼくなりに考えてみたとき、一番に頭に思い浮かんだのは、人と人とのつながりのうすさだ。ぼくの住んでいる尾道でも、マンションや集合住宅が増えてきた。
共働き家庭が増え、両親はいそがしい。ぼくたち小学生も学校や習い事でいそがしい毎日を送っている。そんなあわただしい日常生活の中で、人との人間関係やコミュニケーションを取ることはむずかしいと思う。
犯罪や非行は心によゆうがなかったり、つらいことがあったり、何かに苦しんでいるときに発生する。例えば、暴力の犯罪だとすると、暴力をふるってしまう理由が必ずあり、その前ぶれや予兆があったはずだ。家族や友人、学校の先生、地域の人など、だれか気付く人はいなかったのだろうか。そして、それを止める人は一人もいなかったのだろうか。もし、いつもとちがう様子に気付いて、一言でも声をかけていたら、その犯罪は防げていたかもしれない。思いとどまることができていたかもしれない。
今では何でもネット社会で、ぼくたち小学生もクロムブックを使って授業をしたり、宿題を提出したりしている。果たしてそれでぼくの顔色や文字の乱れなど、様々な変化に気付くことができるだろうか。最近は病院でも電子カルテを使っており、体調が悪くて受診しても、先生は終始パソコンの画面と向き合って、キーボードを打つことに精一杯になっている。患者であるぼくの顔や身体の様子を見ることなく診察を終えてしまう。
ぼくたちはもっと人と向き会って、コミュニケーションを取らなければ、この先、友達や家族の考えていることや、人の気持ちの変化に気付くことができなくなってしまうと思う。急に立ち話になる近所の人や、よく面倒を見てくれるお年寄り、そういう人達がいてこそ、コミュニケーションも成り立っているのだ。そんなあたたかい人達に見守られながら過ごすことができていることに、ぼくは感謝している。そして、コミュニケーションと同じくらい大切なこと。それは人間の「ストライクゾーン」を広く持つこと。出会う人みんなが必ずしも自分と気の合う人ばかりであるとは限らない。しかし、ストライクゾーンを広く持つことで、人を許したり認めたりすることができ、心を穏やかに保つことにつながる。ぼくがそのことに気付けたのは、参加している少年野球のおかげだ。たくさんの大人、学校も学年も育った環境もちがうチームメイト。様々なちがいのある人が集まって、一つの目標を追いかけていくためには、がまんやにんたいが必要だと感じている。そしてここで身に付けたコミュニケーション能力を生かせば、ぼくも犯罪や非行を止める側になれると思う。
犯罪や非行がない地域社会づくりとして、インターネット社会から少しだけ距離をおき、目の前の人との会話を楽しみ、人間のストライクゾーンを広げることが、ぼくたちが今から始めることのできる明るい社会への一歩であると考える。
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