岡野製パン所、99年の歩みに幕 地元に愛された「イギリスパン」も販売終了

(有)岡野製パン所因島田熊工場(5月3日撮影)

尾道市因島を発祥とし、福山市神村町に本社工場を置く老舗パンメーカー(有)岡野製パン所(資本金1千万円、星野秀峰会長)が4月28日、広島地裁福山支部から破産手続き開始の決定を受けた。負債額は2億9千万円。

「オカノパン」の愛称で親しまれた同社は1926年(昭和1年)12月7日創業。創業者の岡野ミツルさんが24歳の時、因島土生町の「住田パン製造店」を譲り受けて開業し、翌年には田熊町に移転。戦後の食糧難の時期には、先頭に立って食糧提供に奮闘したという。

写真中央が創業者岡野ミツルさん(昭和40年代)

看板商品「イギリス食パン」は保存料を一切使用しないノンカットの自然派食パン。毎日食べても飽きない素朴な味わいが特徴で、長年にわたり地域住民に親しまれてきた。

昭和・平成・令和にわたり地元に愛され続けたイギリス食パン。(写真は1.5斤型)

イギリス食パンをはじめ、惣菜パンや菓子パンなども幅広く製造。軽トラックに積んでの移動販売や、小売店への卸販売も行い、尾道・三原・福山・広島市内のスーパーなどでも商品を展開していた。

2023年には、工場の老朽化に伴い、生産機能を福山市の工場へと集約。

昨年(2024)に開催された因島出身バンド・ポルノグラフィティのイベント「島ごとぽるの展」では、コラボ商品を販売。多くのファンが因島工場を訪れ、話題を呼んだ。

地元住民からは「大好きなオカノパンのイギリスパンがもう食べられないのか」「復活の可能性はないのか」と、惜しむ声が広がっている。

寄稿「オカノパンと私」

青木恵(因島椋浦町出身・東京都在住・30代)

私の故郷・因島の思い出のひとつ、それはオカノパンです。その美味しい記憶は、私の人生の3分の2以上を占めています。

台所のテーブルに置かれたイギリス食パンの堂々とした佇まい。子供ながらに、他の食パンと違う特別感を感じていました。

中学生(三庄中学校)になると週に一回程度、昼食に惣菜パンと菓子パンを一つずつ購入し、「ツナマヨパン」と「ブチウマクリームパン」が特にお気に入りでした。職員室の前にウキウキしながら買いに向かった日々を思い出します。

高校3年(因島高校)ではお弁当を食べたあと、学食でその日の気分に合わせてパンを買っていました。今では控えたい習慣ですが、あの頃だからこそできた楽しみでもあります。

大学生・社会人となり、帰省する度にオカノパンを探して思い出の味を楽しみました。東京へのお土産に持ち帰ると、友人たちにもとても喜ばれました。

因島にいた日々も、島を離れてからの日々も、私の記憶のなかでオカノパンは常に生き続けています。パンを選ぶ楽しさ、パン屋さんを好きになるきっかけをくれたのは、間違いなくオカノパンでした。オカノパンの皆さま、本当にありがとうございました。

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故郷への手紙【54】パンの記憶(因島オカノパン)

YouTubeより

オカノパン関連の動画です。

岡野製パン所の岡野いさおさんがアカペラで歌う「パン屋のうた」(2012年撮影)

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