短編小説ショパンの調べ【2】

宮島さん協賛いんのしま水軍花火大会

夜10時が近づくと、仕掛け花火が始まって、3時間程の花火の祭典は、終わる。

ナイヤガラの滝の仕掛け花火が、対岸の生名島に写しだされると、観衆からは口々に、溜息にも似た歓声が上がった。

帰りは、タクシー乗り場にも行列が出来、臨時バスの停留所にもとてもでは無いが、乗り切れそうもない人波が出来る。

英雄と静子は、夏の夕涼みがてら、歩いて帰途につく事にした。

因島市の中心地、土生から一山越えて、40分もすれば三庄の町がある。

「さっきの見合いの話しだけど、静ちゃん、僕の気持ち分かってるだろう」

「でも、今度だけは、断れそうもないの。叔母も顔を立てて、会うだけでも会ってくれって」

静子にしてもしたくてするのではない。好きな英雄と一緒になりたいと、心の中で何時も思い続けてきた気持ちは、今も変わっている筈がなかった。

それでも、交際を初めて一度も、英雄の家に行った事もないし、家族の話も聞いた事がない。年頃の娘と付き合っていても、仲人をたてて結婚の話しを進めるという事もなく、ダラダラと年月だけが過ぎて行っていた。

「次の日曜日、静ちゃん、僕の家に来てくれよ」

英雄は、思い切った様にそう言ったが、顔は何故か冴えなかった。

松本肇(因島三庄町)

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