因島で見た野鳥【135】シマアジ
吉田敬一郎・慶子さん(瀬戸田町)さんが、因島にシマアジが来ていることを発見し、その知らせで撮ったのが、写真①と写真②である。コガモの群れに混じっていた。
シマアジは、筆者にとって初見の鳥で、「因島で見た野鳥」のリストに加える。
シマアジは、カモ科マガモ族のカモで、全長は38㎝、コガモとほぼ同じ大きさである。東南アジアで越冬し、ユーラシア大陸の北部で繁殖する。日本には、春に越冬地から繁殖地へ渡る途中に立ち寄り、秋には、繁殖地から越冬地に渡る途中に立ち寄る、いわゆる、旅鳥である。
繁殖羽のオスでは、頭は黒褐色で、三日月状の太くて白い眉斑が明瞭で、胸は濃い褐色で、体は灰色。背中に白と黒の長い肩羽が目立つ。
メスは、コガモのメスに酷似しているが、コガモのメスに比べ過眼線が明瞭で、嘴の付け根に白い小斑がある。
写真①の左が繁殖羽のシマアジ・オスである。
右側は、過眼線が明瞭で、別の写真でこの個体には嘴の付け根に白い小斑があることが確認できるので、メスと思われるが、コガモ・メスの可能性を完全には排除できないので、(?)マークを付けた。
非繁殖羽のオス(エクリプス)の羽衣は、コガモのメスに酷似していて、秋に渡来したコガモの群れに混じっていると、見落とすことがあるとのことである。
写真②は、オスが風切羽を広げたところで、シマアジの翼帯の様子がよく分かる。
釣趣も食味も良い魚に「シマアジ」がいるが、鳥の「シマアジ」は、江戸時代から「しまあぢ」の名で知られていた。「しま」は、島に産する特殊な種類や、やや変わった種類につける接頭語。「あぢ」は、コガモの古名。「しまあぢ」は、「やや変わったコガモ」という意味。(菅原・柿澤著”図説鳥名の由来辞典”柏書房、2005)
環境省生物多様性センターのガンカモ類生息調査によると、1970年から2021年の51年間に、広島県で確認されたシマアジは、1996年に2羽、2004年に6羽、2013年に53羽で、それ以外の年はゼロである。
この調査は、定められた湖沼で、定められた日時での観測結果であるので、広島県に飛来したシマアジの全数ではないが、渡来は年によってバラツキがあり、しかも極めて稀であることが分かる。
シマアジの渡来情報を提供して頂いた吉田敬一郎・慶子ご夫妻に謝意を表します。(4月9日・記)
文・写真 松浦興一
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