因島で見た野鳥【130】ミソサザイ

ミソサザイは、スズメ目ミソサザイ科の鳥で、メジロより小さく、全長10.5cm、キクイタダキとともに、日本最小の鳥の一つ。

体は丸く、褐色で黒い横斑(背骨に対して直角方向が横)や灰白色の斑点があり、眉斑は淡く、足は肉色に近い。嘴は細く、短い尾を挙げていることが多い。雌雄同色。

写真は、水路の蓋の下の暗い所にいたミソサザイで、不鮮明であるが、ミソサザイと判断できるので、初見の野鳥種として、「因島で見た野鳥」のリストに加える。

ミソサザイ

この後、数日間観察を継続したが、再びは現れなかった。日本では、留鳥で、山地の暗い湿った林に生息し、冬には低地にいることもある(日本野鳥の会:フィールドガイド日本の野鳥)

繁殖期にオスは、「ピィ ツイッピルルル ピーチィピルピル」と聞こえる、金属的で高い大きな声で、複雑に長い間鳴き続けるので、一度聞けば間違うことはない(蒲谷・松田著:日本野鳥大鑑、小学館、1996)。

因島でも生息し続けているのであろう。

図説鳥名由来辞典(菅原・柿澤著、柏書房2005)によると、奈良時代から「ささき」、「さざき」と言われていた。

「ささ」は小さい意、「き」は鳥を意味し、その後、「さざい」、溝に住んでいることから、「みそさざい」となった。日本書紀や古事記にも「ささき」は、歌に詠まれたり、皇子の名前に取り入れられた例もある。

ミソサザイが主人公になった民話、童話は多い。例えば、グリム童話「みそさざいと熊」では、熊と狐が鳥の王様であるミソサザイを小馬鹿にしたので、王様はスズメババチに狐の尻尾を刺させて、四つ足の動物どもに勝った。イギリスの民話「ワシとミソサザイ」では、一番高く飛んだ鳥を王様にする選抜戦で、ワシが一番高く飛んだ。そのワシの上に乗っていたミソサザイがさらに高く飛んで王様になった。

そして、グリム童話「みそさざい」では、ズル賢いとバッシングされて、垣根に逃げ込む事になる。

ドイツ語でミソサザイはZaunkonig。Zaunは垣根、konigは王様。

アイヌの人たちは、動物や植物を神に見立てて生活上の教訓を語り継いでいた。

その民話集「怪鳥フリュー」(山本多助著、平凡社、1978)に、「ミソサザイの神が語った話」がある。

巨大な人喰いクマを退治しようとしたが、神々は怖気付いて誰も手出しが出来なかった。そこで、ミソサザイの神がクマの耳に飛び込み血管を食い破った。その勇気に鼓舞されて全ての神々がクマ退治に参加し、最後にカラスの神の大群が、クマを崖下の海に突き落とした。海では、鯨の神が現れてクマを沖合に引いていくと、シャチの神様が現れてクマを食べ尽くした。固唾を飲んで見ていた森の神々は、歓喜の声をあげ、ミソサザイの神の勇気ある行動を讃えた。最小の鳥のミソサザイから最大の動物の鯨の登場は、おもしろい。

暗いところで密やかに暮しているミソサザイだが、繁殖期になると、オスが岩の上などの目立つ場所で大声でさえずる。この姿に人々は何か神秘を感じて、王を連想したり、様々に想像を膨らませたのであろうか?(2月12日・記)

文・写真 松浦興一

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