2017年6月24日 / 最終更新日 : 2017年7月7日 times せとうち花壇 島の暮らし詠う 砂文字短歌大会 因島を中心に島の暮らしを詠いつづけている砂文字短歌会(池田友幸主宰)が17日、ポートピアはぶで年一回の大会を開催し、会員25人が集った。 講師は、日本歌人クラブ中国ブロック参与の相原由美さん=写真。今まで発表されているも […]
2011年8月13日 / 最終更新日 : 2011年8月13日 times せとうち花壇 回ラン板もちゆく度にご主人のノーモア広島の被爆体験聞く 短歌・中西貴子 昭和20年8月(原爆投下・無条件降伏)は、当時の日本人の思考力・生き様を根底から変え、崩れた日である。昨日まで信じていたものが音を立てて消滅した。
2011年1月1日 / 最終更新日 : 2011年1月1日 times せとうち花壇 新しき三年日記に書き始むわが血を分ける全員集うと 吉原浩子 日記とは、日々起きた出来事を記するのであるが、何年も何十年もやれる人は多くはいない。ときに小説家や政治家の日記が発表されることがあり、貴重な資料となっており、時代性、人間性を感じさせらるものがある。
2011年1月1日 / 最終更新日 : 2011年1月1日 times せとうち花壇 初春の寺の炬燵に楽しげにおんな五人の会話は続く 三島美知子 正月の三日か、あるいは五日か寺総代をやっておられる奥様たちかも知れない。日頃の憂さを忘れての一と時と言えよう。
2009年6月27日 / 最終更新日 : 2009年6月27日 times せとうち花壇 摘み取れぬままに春日に晒さるる一人住みなる庭の冬柑 安川二三子 作者に何かの理由があって、摘み終わっていなければならぬ時期になっても、冬柑はぶらりと垂れ下がっているのでした。
2009年5月23日 / 最終更新日 : 2009年5月23日 times せとうち花壇 兄貴にと義弟の供えしボンタン飴私も好きとおりおりつまむ 池本 滝子 ボンタン飴の生まれたのは大正15年で、鹿児島の産である。当年とって84歳であって、ロングセラー飴である。飴と言っても色々で、水飴から鉄砲玉飴、金平糖飴まである。
2009年5月16日 / 最終更新日 : 2009年5月16日 times せとうち花壇 人恋し喜怒哀楽も花のいろ色褪せぬまま老いてゆきたし 西本としゑ 「人恋し」「喜怒哀楽」が現世の象徴として扱われているのに納得できます。色褪せぬまま老いたし」とやや独り言めいた下句も初句の孤独感を補足して感情を深めています。
2009年5月9日 / 最終更新日 : 2009年5月9日 times せとうち花壇 立ち競い妥協許さぬ紫の菖蒲にも雨おだやかに降る 宗近陽三郎 この菖蒲の花を何処で見ているのだろうか、おそらく近くの観光苑にやっている菖蒲の花だろう。何列にもその花色を競うかのように、とくに、この深みをたたえたような紫色の花菖蒲に心を魅きつけられたのである。色あいには […]
2009年5月2日 / 最終更新日 : 2009年5月2日 times せとうち花壇 スーパーに巻きのり探す媼いて見知らぬ我に息の帰郷告ぐ 河内せい子 人の感情は「気分、喜怒哀楽などの気持」と説明されるようです。この四つの感情で特に好まれるのは、「喜び(心にうれしさを感じること)」でしょう。
2009年4月25日 / 最終更新日 : 2009年4月25日 times せとうち花壇 よっとこしょ朝のお供えお茶湯九時仏守れてよいとしようか 平川 房子 ご高齢の方とお見うけする。作品を読み通すとき、しみじみとした作者の心根が伝わって来るからである。 先祖、仏様を大事にするこの人なりの決めごと、いわゆる朝のお勤めの気持ちや動きが見えて来る一首である。
2009年2月7日 / 最終更新日 : 2009年2月7日 times せとうち花壇 巡礼の白き衣は新涼の尾花の野辺にひとすじつづく 小川 計江 結句の”ひとあしつづく”が効いた清々しい一首。場面を新涼(初秋)の野涼の野辺と設定されているのもさわやかで、映画のズームアップのように主題に急接近させてくれます。
2009年1月31日 / 最終更新日 : 2015年4月10日 times せとうち花壇 商人の仕掛けにのせられ恵方鮨百万本の一本を買う 林原澄子 恵方鮨とは、恵方巻(えほうまき)の別名である。節分の日にこれを食べると福がやってくるとか、縁起が良いとか言われている。
2009年1月24日 / 最終更新日 : 2009年1月24日 times せとうち花壇 あな欲しと思ふすべてを置きて去るとき近づけり眠ってよいか 竹山 広 一首の焦点は「すべてを置きて去る」にあります。厄介なのは「すべて」の範囲ですが、一首の緊迫感から全ての欲望(性欲、食欲、物欲…)が対象で、森羅万象のことごとくとなります。
2009年1月17日 / 最終更新日 : 2009年1月17日 times せとうち花壇 新年の庭先に来てピーヒョロロ鳶(とび)しっかりと福運び来よ 浜田伊勢子 新年とは言っても、元日、二日、三日とあるから、その何れかの日である。お目出たい年の始めに、我が家の庭先に来て鳶が鳴く。日頃からこの家の人が魚や肉片を与えているのかと思ったが、そうでもないらしい。鳶の鳴き声も […]
2009年1月1日 / 最終更新日 : 2009年1月1日 times せとうち花壇 年末に帰省の息子がガラス拭き見通しのよき正月となる 三島美知子 以前から窓ガラスの汚れが気にはなっていたのだが、明日、明後日は、と思いながらもいつしか年の瀬になってしまった。例年であれば、息子の帰省も大晦日から、元旦にかけての二、三日である。今年は、会社の仕事の関係から […]
2008年12月20日 / 最終更新日 : 2008年12月20日 times せとうち花壇 地球という宇宙の星にわが住みて四畳半の部屋のベッドに眠る 石田冨美子 光年という単位で語られる広大な宇宙と、四畳半の部屋に据えたベッドの狭さの比較から不思議なユーモアを感じます。そのユーモアによれば
2008年12月13日 / 最終更新日 : 2008年12月13日 times せとうち花壇 今すこし若くしあらばと名湯のマップに印す丸かずを増す 有吉 貞子 民放でときどき温泉めぐりの放送をやっている。しかも人里離れた山峡の秘湯と言われるところである。もちろんコマーシャルを含めた、大皿に盛り上げた山や川の珍味。露天風呂に女性二人がゆったりと湯浴みをしている。紅葉 […]
2008年12月6日 / 最終更新日 : 2008年12月6日 times せとうち花壇 今朝一輪夕べ二輪と九輪の鷺草白く闇に浮かべり 半田ミチエ 『お花や生き物に興味がある人はこの素晴らしい自然の神秘を感じる鷺草を見て誉めてくれ、興味が無い人は自分の隣に咲いていても 目もくれません』とは土屋薬局店主・土屋幸太郎氏の言葉で、氏は更に続けます。
2008年11月29日 / 最終更新日 : 2008年11月29日 times せとうち花壇 紅葉なす山と凪ぎたる海見ゆる日溜り探して弁当開く 河内せい子 この歌の中には、作業は何をしているのか、誰と誰がいるのかと言うことがどこにも書かれてはいないが、歌の前後の関係から、〈これはミカン摘みだ。〉〈夫婦二人がいる。〉の内容である。
2008年11月22日 / 最終更新日 : 2008年11月22日 times せとうち花壇 亥の子まで炬燵の火入れ待つとするスイッチポンの電器なるとも 白須 淑子 一首を目にして、炬燵の暖かさを待ちわびた少年期を懐かしみました。「炬燵は亥の子から」と聞かされたが、それが何月何日であるかは確定できなかったのです。当時は何事につけ、是非を問う前から慣例をよしとしていた様で […]
2008年11月15日 / 最終更新日 : 2008年11月15日 times せとうち花壇 手押車に子犬三匹顔出して紅葉より先に被写体とせり 岡野 幸子 作者は、多くの人に愛用されているデジタルカメラを手に、紅葉狩りに来たところである。また、車を降りて紅葉名所の入口付近にさしかかった所である。
2008年11月8日 / 最終更新日 : 2008年11月8日 times せとうち花壇 幼な時海辺の土手に芒ゆれ姉妹と歌いし夕焼けの歌 渡辺スズ子 この作品は、先人が「山青く水清し」と詠み歌った昔むかしの郷土を思い浮かばせてくれます。こうした時、『こどな』(子供心を忘れない大人)は、昭和二十年代の情景を思い出します。
2008年11月1日 / 最終更新日 : 2008年11月1日 times せとうち花壇 何事も相談に行く三島家の年長者逝きわれの番来る 三島美知子 高齢にもめげずに、ずっと私たちの相談ごとにのってくれた人、頼み甲斐のある人であった。何でも、うんそうか、こうしたら、と、やんわりと決めたり、アドバイスをしてくれていた。もちろんこの歌は、亡くなられた人を心か […]
2008年10月25日 / 最終更新日 : 2008年10月25日 times せとうち花壇 「今晩は」半年ぶりに来し男孫声変りして言葉少なし 橋本喜代子 ある夜、「今晩は」と言って少年Aが作者を訪ねました。おばあちゃん子だった少年Aは、自分でも扱いかねている伸び盛りの体を壁際に寄せて座りました。
2008年10月18日 / 最終更新日 : 2008年10月18日 times せとうち花壇 山畑のセイタカアワダチソウは競うごとミカン木の間で風に揺れおり 大西いしゑ この花の咲くのは秋の盛りである。JRの在来線に乗って旅をしていると、沿線沿いに黄色に輝いて咲いているセイタカアワダチソウを見かける。また、休耕田のようなところに、また、ときに大群落を見かける。一説には、この […]
2008年10月11日 / 最終更新日 : 2008年10月11日 times せとうち花壇 ぎっしりと葉の巻くキャベツ無農薬「食べてください」と安全持ちゆく 渡辺スズ子 昔むかし、『健康で長寿で子宝に恵まれる』ことを幸福の基準とした時代がありました。その頃の人気者は『こどな』という子供心を忘れない大人でした。 「このキャベツはおいしいよ。何たって『こどな』の甲さんが作った […]
2008年10月4日 / 最終更新日 : 2008年10月4日 times せとうち花壇 誰(た)に学びし鳩の子育て背後より一羽帰りて一羽飛び立つ 大庭美代子 あれは誰が教えてやったのだろうか、感心しながら山鳩の子育ての様子を近々と見ているところである。
2008年9月27日 / 最終更新日 : 2008年9月27日 times せとうち花壇 せまき谷占めて光の散乱は朝日に無数のアキアカネ舞う 吉原 浩子 アキアカネの別名はアカトンボ。 夕焼け小焼けの赤とんぼ 負われて見たのは 何時の日か 安野光雅画伯の著書「絵本歌の旅・講談社」の、画伯の赤とんぼの絵を見て、私は童心に帰る。
2008年9月20日 / 最終更新日 : 2008年9月20日 times せとうち花壇 フェンスから真っ赤なバラが顔出して急カーブまわる私を見ている 村上美和子 歌の素材としては一寸楽しくなるところである。車とか運転と言う字句がどこにもなくても運転手が見えていて、「急カーブまわる」がいきいきとこの歌の情況を見せている。 公園のフェンスは金網か、その網の目からこぼれ […]
2008年9月13日 / 最終更新日 : 2008年9月13日 times せとうち花壇 白百合の種は飛び来て我が庭によくぞ咲きたる水かけやりぬ 川崎 訓子 一首の焦点「よくぞ咲きたる」から、自然への作者の感謝が伝わるが、主因は「種は飛び来」「我が庭に」「よくぞ咲き」を受けた『水かけやりぬ』の穏やかな結句にある。