よっとこしょ朝のお供えお茶湯九時仏守れてよいとしようか

平川 房子
 ご高齢の方とお見うけする。作品を読み通すとき、しみじみとした作者の心根が伝わって来るからである。
 先祖、仏様を大事にするこの人なりの決めごと、いわゆる朝のお勤めの気持ちや動きが見えて来る一首である。


 朝の九時は特別に早くも遅くもないが、朝のお供えとお茶湯を上げる時間をこの人なりに決めているのだろう。
 仏壇に向って念仏を唱え、今日一日、何事も起らず、平穏無事にあることを念じているのである。
 歌の終りの部分に「仏守れてよいとしようか」
 と、あるが、仏を守るということは、自分の安心も守れることと同じ意味であって、これでよしとしようか、が又面白く、作者の性格の明るさが見える。
 女性は、男とは違って、高齢になっても、つれあいに死別しても、友人知人のつながりが多く、その人の心がけ次第で、千客万来である。
 来る人があまり多くてもその対応に困るが、仲の良い、いわゆる気ごころの知れた近隣の友人とのおしゃべりも、またよしである。
 ときには土産物をもちより、このごろ、足が悪いから、墓参は嫁にしてもらい「もっぱら仏壇よ」、と言いながらの、しゃべくりの楽しさを味わっている時の間である。同じ年ごろであっても男性には、それが全くなく、とくに高齢になると一人で家に籠る場合が多い。
 歌のはじめにあった「よっこらしょ」が面白い。何かやろうとする時に、自分で自分に掛け声をかける、掛け声である。自然に出る時、意識するときとある。
 辞書にはないが、方言に近い発音であるが、歌を柔らかく感じさせる一語である。
(文・池田友幸)

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