年末に帰省の息子がガラス拭き見通しのよき正月となる

三島美知子
 以前から窓ガラスの汚れが気にはなっていたのだが、明日、明後日は、と思いながらもいつしか年の瀬になってしまった。例年であれば、息子の帰省も大晦日から、元旦にかけての二、三日である。今年は、会社の仕事の関係から、予定していた日より早く帰って来てくれた。近頃は会社の勤務形態も一斉に休める会社も少なく、帰省するのもさまざまである。息子の帰省は娘とはちがって細々としたことはやってくれない。その替り、日頃はやれない大きな仕事をやってくれる。


「窓ガラスを拭いてくれる」「お母さん、やっとくよ」
 二つの返事でひき受けてくれた。何処の家にでもガラス戸の十枚二十枚はあるだろう。若いと言うことは体力もあって、その動きも無理なく無駄なく次ぎ次ぎと仕上がり、ガラス戸はピッカピカで、まばゆいくらいの透明度である。あまりによく磨かれていると、雀や小鳥たちが突き当り、脳震とうを起こして落ちたという話も聞く。
 この短歌のもっている味のいいところは、素材的にはきわめて日常的であり、平明である。もちろん座敷から外の風景が晴ればれと見えることである。それと同時に、家も人の心も、見通しの良い正月を迎えたという、未来指向の歌である。内容は息子が年の瀬にガラス拭きをしてくれた事実のみであるが。
(文・池田友幸)

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