あな欲しと思ふすべてを置きて去るとき近づけり眠ってよいか

竹山 広
 一首の焦点は「すべてを置きて去る」にあります。厄介なのは「すべて」の範囲ですが、一首の緊迫感から全ての欲望(性欲、食欲、物欲…)が対象で、森羅万象のことごとくとなります。


 つまり宇宙空間に数限りなく存在するいっさいの物事という途方もない範囲が対象となり、ホントカイナと自問しました。
 しかも、宇宙には未知が溢れ、現世の過去から未来へという時間の流れさえ、逆方向に死から生へ向く世界があるそうです。
 「現実にあるのは生と死で、そのはざまにある現世は、幻なんです」と臨済宗有馬頼底管長は説かれていますが…。
 翻って作品を読み返すと「置きて去る」までの上句には、捨てようのない希望・欲望が隠されているようです。
作者も欲望が「去るとき」の邪魔とご存知で「こうした邪魔物をそのままにしておくのか」と叱咤されているようです。
ここで、「すべてを置きて去る」を臨終と置きかえれば、個々の人間ばかりではなく、地球や銀河にも当てはまります。
 地球でいえば、地球軌道に交わるコースで高速接近する天体があるかも知れません。また、この種の報道が厳しく管制されることは、数年前、月をかすめてすれ違った小天体について事後報告されたことから必至といえます。
 これらの類推から、作者は読者に向って「身辺整理から研鑽・制作・調査・研究のまとめのため寝る間も惜しめ」と忠告されているように感じました。
(文・平本雅信)

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