オジギソウ指を触れれば葉を畳むそれで私は機嫌を直す

三島美知子
 この一首は事の始終が分かりやすく詠まれている。作者は何かのストレスを発散したくてオジギソウに触った。するとオジギソウは葉を畳み始め、その動きを見ているとストレスが消え、機嫌よくなっていく自分が見えた。このように物事の進行には手順があって、手順どおりに進行すれば凡そは成就する。


 ここでオジギソウが「何者かに触られ」葉を閉じる手順をいうと、

  1. 触感によりオジギソウは緊急信号を葉枕(ようちん…葉の付け根にある関節器)に送る
  2. 葉枕は信号を分析、事の重要度を判定し、対応すべき葉枕に発信する(例えば隣の葉枕まで、上下の枝の葉枕まで)
  3. 信号を受けた葉枕は(内部の液体を移動させ)葉を閉じる。

 それでは詩的想像の世界を覗きましょう。
 『オジギソウ指を触れれば』…そのとき作者は毎日を律儀に生きるオジギソウの世界に近付きたくなった。何故か。
 『葉を畳む』…手順どおりに正直に生きるオジギソウは「触れれば(葉を)畳む」。正直者で嘘など言わない。
 『それで私は』…あの時約束を守ったのに、意に反する出来事が身にふりかかった。”それだけのことよ”
 『機嫌を直す』…”それだけの事よ”と思ってもシコリは残るが、作者は先ほど触ったオジギソウが葉を閉じる動きを見て自分を取り戻され、手順どおりほほ笑みを浮かべられた。
 鑑賞…今の世で日常生活を続けるには、身をひらりとかわす術が要る。作者は上等な処世術を、オジギソウという洒落た小道具を使って演出され、作品として『それで私は機嫌を直す』という方法を示され、忘れがたい一首である。
(文・平本雅信)

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