ふるさとの史跡をたずねて【402】伝六②「万時簿」

伝六②「万時簿」

遠回りである…。

ここに『私の万時簿』(風間書房)という奇妙な表題の本がある。著者は三好信浩氏。昭和7年(1932年)大分県生まれ。昨年、福山市で亡くなられた。

この「万時簿」について三好氏は次のように記されている。

「自分の研究に使った時間数を毎日記録するだけのことである。大学での講義や会議などの時間は除き、いわば自分の職業としての学問に費やした時間数を記し、その単純計算で何年何か月で一万時間に達したかを楽しむのである。」(同書6頁)

同書には「いかにスローな私でも、五千時間かければ一冊の研究書がまとまることがわかった」などという貴重な体験が記されているが、それらを紹介するのが本稿の目的ではないので省略する。

興味深いのは、その発想の原点が大分県日田市の小学校にあったということである。当時の小学校の校長が「万善簿」を小学生に習慣づけようと努力され一日一善、善行の内容を記すよう指導された。「かなり苦痛だったことを覚えている」程度でそのことは忘れていたが、学者生活を始めた時、「万善簿」ならぬ「万時簿」をふと思いつかれたということである。

それでは、その「万善簿」とは何か? その校長先生は江戸時代の郷土の教育者広瀬淡窓の研究家で、広瀬淡窓が実践したのが「万善簿」であった、ということである。

なお、三好信浩氏はイギリス教育史の分野で高名な方であるが、のちに我が国の産業教育史の分野で多くの研究書を公表された。一般書として『明治のエンジニア教育』(中公新書)などがある。

写真・文 柏原林造

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