因島で見た野鳥【168】ヤマドリ
水鳥や海鳥は、水辺や海にいる鳥のことで、種の名前ではないが、ヤマドリ(山鳥、山鶏)は、キジ科の一種の名前で、古くから知られている野鳥である。飛鳥時代・西暦671年の新羅から天智天皇への貢物に、山鶏(ヤマドリ)がある(日本書紀)。万葉集にも山鳥(ヤマドリ)の歌は数首ある。大伴家持は、万葉集(第1629首)で、”ヤマドリは谷を隔てた峰に「妻問する」 というが、私が妻を訪ねられないときは、どれほど恋しいことか”と嘆いている。この時代は、夜、夫が妻の家を訪ねる妻問婚である。
因島の山歩きで数度ヤマドリを目撃した杉本卓夫(因島大浜町)さんの情報で、筆者もヤマドリの探索を続けているが、未だ出会っていない。
ところが、2023年9月に、石田憲二(因島土生町)さんが、写真①に示すように、ヤマドリの撮影に成功した。これで、因島にもヤマドリが生息していることが実証された。
ヤマドリは日本固有種で、オスの全長は125cmで、キジのオス(全長80cm)よりかなり大きく、メスは全長55cmで、キジのメス(全長60cm)より小さい。オスの目の周囲は赤く目立ち、全体に銅褐色で、首の周りは色が濃く、尾は非常に長い。メスは色が淡く尾は短い。
知人の岸田悟(鳥取市)さんが、鳥取で撮影したオス(写真②)を参考のために示す。
人里近くに生息しているキジと違い、ヤマドリは人里を離れた山中にいるので、目にすることは容易ではない。飛翔力はあまりなく、海を超えて行き来することは考えにくいので、因島でも、ヤマドリは遥か昔から密やかに生息していたのであろう。
日本鳥類目録(第7版)によると、(種)ヤマドリには5亜種があり、亜種により、それぞれ、異なる分布域が記されているが、これらの分布域は明確でないので検討が必要とも明記されているので、本稿では、亜種については言及しない。
ヤマドリの尾は、長く下に垂れた尾、「しだり尾」ともいわれ、独り寝の夜はしだり尾のように長く感じられると、次のように、小倉百人一首で詠われている。
「あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の 長々し夜を ひとりかも寝む」(柿本人麻呂)
秋の夜長に朗詠し、因島の山奥にいるヤマドリを想うのも一興(?)
ヤマドリの情報提供で杉本卓夫さんに、因島と鳥取のヤマドリの写真提供で石田憲ニさんと岸田悟さんに、謝意を表します。
文・松浦興一 写真・石田憲ニ(因島土生町)、岸田悟(鳥取市)
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