因島で見た野鳥【155】ノスリ

写真①は、石田憲二さん(尾道市因島土生町)が撮影したノスリである。ノスリは、タカ目タカ科ノスリ属の一種。全長はオス52cm、メス57cmで、ハシブトガラス大の猛禽。

写真①ノスリ(撮影・石田憲ニ)

写真①では、翼角(翼の前縁が曲がっているところ。写真③を参照)付近に黒斑があり、喉が暗褐色で、体の下面は、白っぽくやや黄色味があり黒褐色の縦斑が見え、脇が黒褐色で腹巻きを巻いたように見える。

鳥の脚で足指の上の部分は、人の土踏まずに相当し、跗蹠(ふしょ、※注①)というが、同一個体の足指付近の写真②で、跗蹠に羽毛がないことがわかる。

写真②ノスリの跗蹠(撮影・石田憲ニ)

ノスリによく似たケアシノスリの跗蹠には羽毛があり、オオノスリの喉は褐色の縦斑がある灰白色で、いずれも、写真①の特徴とは合致しない。これらのことから、写真①は、ノスリと考えられる。

よく見る猛禽の一つ・トビ【本連載48】の翼角近くには、写真③で見るように白斑があり、尾翼の先端は中央部がへこんだ凹形か直線的で、写真①の凸形の尾羽とは異なる。

写真③トビと翼角(撮影・松浦興一)

ミサゴ【47】の下面は白く、写真①のような腹巻き風の黒褐色の部分はない。オオタカ【49】ハイタカ【119】には、下面に横斑がある。タカ目の多くの種では、写真①のように翼の先が指状に開くが、ワシ・タカの仲間ではない猛禽のハヤブサは、翼の先は開かない。

ノスリには、ノスリ、ダイトウノスリ、オガサワラノスリの亜種が知られている。ダイトウノスリはすでに絶滅しており、オガサワラノスリは絶滅寸前種(EN)である。ノスリは、日本でのみ留鳥で、日本以外の地域では、夏季にユーラシア大陸の亜寒帯や温帯域で繁殖し、冬季は熱帯や温帯へ渡り越冬する。生息地は世界中に広がっており、国際自然保護連盟(IUCN)の評価では、絶滅の兆候はないとされている(※注2)。

鳥名由来辞典」によると、奈良時代から”のせ”と呼ばれ江戸時代から”のすり”と呼ばれるようになった。

野の上を滑翔(かっしょう)するので、”のすり(野擦り)”に変わったとされている。鳥も捕食はするが、ネズミ、モグラをよく捉え、鷹狩りにはあまり使われないので、”くそとび”の呼び名も使われていたとのことである。しかし、我々がノスリを目にする機会は少ないので、誰もが見たいと思うであろう鳥の一つである。

ノスリの写真を提供していただいた石田憲ニさんに謝意を表します。

文 松浦興一 / 写真 石田憲二・松浦興一

※注①「跗蹠」は、読み方は「ふせき」と思われ、「ふせき」とフリガナを振ってある図鑑もあるが、慣用的に「ふしょ」が使われている場合が多い。

※注② 鳥学会の日本鳥類目録7版では、ノスリの学名は「Buteo buteo」で、ヨーロッパノスリと同種と分類されているが、2023年に出版予定の8版では、日本のノスリは、ヨーロッパノスリとは別種で、学名は「Buteo japonicus」とされる予定で、ノスリの生息分布の記述などについては、Buteo aponicusの生息分布マップを参照した。

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