因島で見た野鳥【167】クサシギ・タカブシギ・キアシシギ・イソシギの識別
2022年9月に石田憲ニさん(因島土生町)が因島でクサシギを撮影したので、因島の野鳥として、本連載【152】に紹介した。
そこでは、「春・秋に渡りの途中で日本を訪れる旅鳥で、西日本以南では越冬もするとされている」と述べた。
その後の観察で、同一個体とは断定できないが、2023年2・3・5月にもクサシギを見たので、クサシギは因島で越冬した可能性もある。
クサシギ(全長24cm)の上面背は灰黒褐色であるが、同じような色合いのイソシギ(全長20cm)、タカブシギ(21.5cm)、キアシシギ(25.5cm)なども因島で見ることができる。因島で撮影した翼を広げたときの写真を中心に、それらの識別について簡単に述べる。
写真①(a)はイソシギ。腹部の白が肩に食い込んでいる。
写真①(b)はイソシギが翼を広げたところで、翼に明瞭な白帯がある。
写真②(a)は、クサシギ左とイソシギ右である。クサシギの背には、多数の小さな白点がある。単独で見たときは、大きさの違いは分かりにくいが、並んでいると、クサシギとイソシギの大きさの違いは明白である。
写真②(b)はクサシギが翼を広げたときで、翼の上面と下面のいずれにも翼帯はなく灰黒褐色である。
写真③は、タカブシギが絆を深めるために行うディスプレイ・フライトの場面である。背にはクサシギと同様に白点があるが、翼の下面は、クサシギと違い白っぽい。
写真④(a)はキアシシギで、背にはイソシギと同様に白点はないが、
写真④(b)で分かるように、イソシギと違って翼には明瞭な白帯がない。
イソシギは、因島では年中見ることができる、いわゆる、留鳥で、他の3種のシギは、春・秋の渡りの途中で羽を休める旅鳥(越冬している可能性もある)である。
種ごとに異なった特徴は様々であるが、水辺で茶褐色の野鳥を見かけた時に、しばらく観測し、飛び立つ場面に遭遇できれば、種を確認する手がかりの一つが得られるかもしれない。
文・写真 松浦興一
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