因島で見た野鳥【152】クサシギ

写真は、石田憲ニさん(尾道市因島土生町)が昨年9月に撮影した鳥である。

体の上面は灰褐色で、小さな白斑があり、眉斑は白く、目の外縁の白色部につながって終わっている。下面は白く、胸には暗褐色斑があり、脚が灰緑色である。これはクサシギと考えられ、因島では初見である。

クサシギは、チドリ目シギ科クサシギ属の一種で、全長24cm、ユーラシア大陸北部で繁殖し、中国南部や東南アジアなどで越冬する。春・秋に渡りの途中で日本を訪れる旅鳥で、西日本以南では越冬もするとされている。水辺、湿地やそれに隣接する草原などに生息し、食性は、他のシギ類と同様に、主に動物食で、湿地や水深の浅い地中の虫類や甲殻類などを食べる。

本連載【46】【83】で紹介したクサシギ属のタカブシギにも上面に白斑があり、クサシギによく似ているが、タカブシギの白斑は大きくて目立ち、脚は黄色みが強いので、識別できる。体型がよく似ているキアシシギ【45】【82】、イソシギ【44】などの上面には白斑がなく脚も黄色みがあり、クサシギと識別できる。

江戸中期ごろから「くさしぎ」、「くさちどり」の名で知られているが、海浜にはおらず、主に草原に住むことから名付けられた(菅・柿澤:鳥名由来辞典、柏書房、2005)。

クサシギは、因島ではよく見るという鳥ではないが、世界的には広く分布し、IUCN(国際自然保護連盟)が定めた保全状況の分類では、LC(Least Concern、低危急種)に相当する(Bird Life International)とされ、近い将来も絶滅に瀕する見込みは低い。

写真を提供していただいた、石田憲ニさんに謝意を表します。(10月29日・記)

文 松浦興一 写真 石田憲二

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