因島で見た野鳥【161】カルガモのヒナ~サバイバル~

今年(2023年6月5日)も、ヒナを連れたカルガモを見た=写真①

写真①カルガモの家族(2023年6月5日撮影)

ここ10年ほどの間に、ヒナを連れたカルガモ家族を30数例見てきたので、それらの家族を初めて見た時点(初認時)での、それぞれの家族のヒナの数の分布を調べた。

30数例の中には、初認時以降に再び観測され、重複する例もあるので、これらは観察例から除いた。

因島土生町・石田憲二さんの観察例4件と因島中庄町・渡邊千史さんの観察例1件を含め、27件のデータを棒グラフにした。

初認時に、すでにヒナといえないほどに成長していても、母鳥の保護下にあるのは、ヒナとして扱った。

下の図が、ヒナ数の分布を示す棒グラフで、例えば、5羽のヒナの家族が8組いたことなどを示す。

これによると、ヒナの最大数は10羽であるが、4~6羽の場合が多いことがわかる。

神山和夫:「バードリサーチ ニュース2019年8月」によれば、ヒナを連れた21家族のカルガモを観察した結果、初認時から10日以内に、4割の9家族でヒナが全滅し、ヒナが半数以下になったのは5家族、半数以上が生き残ったのが7家族、そのうち初認時から10日以後までに全員が生き残れたのは1家族だけであった。

この時の初認時のヒナ数は明示されていないが、このニュースの中間報告に記載されている11家族の初認時でのヒナ数の平均は、8羽であった。

因島の観察でも、初認時に6羽いたヒナが全滅したと思われるケースもあったが、上のグラフは、初認時のヒナ数だけを対象にしたグラフなので、「全滅」のことはグラフには示されていない。

また、ヒナがすでに絶滅しているカルガモ家族を、育雛していたカルガモとして観察者は知ることができないので、そのような家族数はわからない。

図①は、孵化したヒナが初認時まで生き残れたヒナの数、サバイバルの一端を示しているに過ぎない。

因島でもヒナが全滅しているケースは数多いと思われる。

カルガモが一度に抱卵する卵数は10~14個といわれているが、筆者らが見たケースは5~6羽のヒナの場合が多いので、因島では、カルガモの抱卵数が少ない可能性も考えていたが、特に変わった事情はないと考えられる。

まだまだ…サバイバルは続く…。

カルガモの観察データの提供について、石田憲ニさん(因島土生町)と渡邉千史さん(因島中庄町)に謝意を表します。(6月8日・記)

文・写真 松浦興一

参照リンク

繁殖期のカルガモが増えている? ヒナの生存率を調べます

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