因島で見た野鳥【153】アカエリヒレアシシギ

アカエリヒレアシシギはチドリ目シギ科ヒレアシシギ属の1種。全長19cmで、因島では留鳥のイソシギ(全長20cm)とほぼ同大の、クチバシが黒いシギ。ユーラシア大陸や北アメリカ大陸の北極海沿岸で繁殖し、南太平洋やインド洋などで越冬する。春と秋の渡りでは、主として海洋上を移動し、日本には、旅鳥として、岸近くの海上や内水面に飛来する。

繁殖羽(夏羽)では、メスは、頭、顔、後頸は青黒色で、咽は白く、前頸から喉にかけて赤褐色、足指(趾)に小さなヒレを持っている。つまり、襟(エリ)の部分が赤く、足にヒレがあるシギで、アカエリヒレアシシギという。オスは、メスに比べ淡い色で地味な羽衣をしている。

写真①は、9月下旬に数日間、因島に立ち寄ったアカエリヒレアシシギで、この時は、非繁殖羽(冬羽)で、顔、頸、胸は白く、黒くて太い過眼線があり、頭頂から上面は灰黒色で背に襷(たすき)状の白条があり、側面と下面は白い。雌雄同色。

写真①水に浮かぶアカエリヒレアシシギ

写真②のように、翼を開くと白い翼帯が現れる。

写真②アカエリヒレアシシギの翼帯

下面には羽が密集して大きな浮力があり、腰高に浮かび、足ヒレがあるので、歩くより泳ぐことが得意である。くるくると気ぜわしく回転しながら採餌することが多い。その様子が写真③である。

写真③回転しながら採餌するアカエリヒレアシシギ

渡りの途中では、海面に大きな群れで浮いていることがあるという。夜間照明されているプロ野球ナイター球場(2022年9月20日ZOZOマリンスタジアム)に、洋上にいたと思われるアカエリヒレアシシギの大群が襲来し、試合が中断したことがあった。似たようなことはよくあるらしい。

ヒレアシシギ属には、アカエリヒレアシシギの他に、ハイイロヒレアシシギ、アメリカヒレアシシギがいるが、いずれも、オスよりはメスが大きくて、夏羽では、メスの方が派手な色合いをしている。

メスは、4個の卵を産むと巣を離れ、別のオスと番(つがい)を形成し(三省堂世界鳥名事典2005)、巣に戻ることはない。

オスのみがが抱卵・育雛をする。オスのみが抱卵・育雛するのは、ヒレアシシギの他にタマシギ(チドリ目タマシギ科)、レンカク(チドリ目レンカク科)が知られており、繁殖形態は一妻多夫である。

キジやオオヨシキリなどはメスだけが抱卵・育雛を行い、繁殖形態は一夫多妻である。

鳥の繁殖形態は、90%が一夫一妻、2%が一夫多妻、一妻多夫は1%以下である(フランク・B・ギル:鳥類学)。

鳥類の繁殖形態は、のちに別稿で取り上げたい。

石田憲ニさん(因島土生町)が、因島に渡来したアカエリヒレアシシギを発見した。その情報提供に関して、石田さんに謝意を表します。(11月4日・記)

文・写真 松浦興一

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