因島で見た野鳥【134】スズメの幼鳥

スズメは、我々にはなじみ深い野鳥であり、すでに、本連載【4】で取り上げた。初夏に、スズメの親鳥が巣立ちした幼鳥に給餌する光景を見ることがある。写真①はその一例である。

写真①巣立ちした幼鳥に給餌するスズメ

一見すると、小さい鳥が大きい鳥に餌をやっているようにも見える。このことを少しだけ考察する。

中国由来の言葉に、慈烏反哺(じう はんぽ)がある。慈烏はカラスの異称で、「成長したカラスの子供が親に口移しで餌を与えて恩返しをする」の意味(三省堂 新明解四字熟語辞典)。

カラスは神格化されることも多く、親孝行の大切さを表す「たとえ」の一つかもしれないが、写真①でスズメの「反哺」を想像する人もいるかもしれない。

前にも述べたが、鳥は、孵化時のヒナの成熟度合いで、大きく分けて早成性と晩成性がある。早成性は、孵化した時に、体は幼綿毛で覆われ、自力で歩くことも採餌もできて、孵化して間も無く巣を離れる(離巣性)。カモ類やキジなどがその典型的な例である。一方、スズメ、ツバメ、カラスなどのスズメ目の鳥の多くは、晩成性で、ヒナは孵化した時には、裸で目も見えず、自力で動けず、巣にとどまり(留巣性)、食べ物を親に依存する。

晩成性のヒナは、巨大な胃袋と内臓を持ち、早成性の鳥の3~4倍も速く成長する。

図①に、晩成性のスズメと早成性のカルガモの成長(体重)曲線例を示す。

それぞれ、孵化した時の体重を1として、日齢とともに体重が何倍になるかを表している。

スズメのデータは、松井晋らの論文、日本鳥類標識協会誌第23巻第1号-11(2011年)のFig.4(a)から読み出した。

カルガモのデータは、秋元博一らの論文、J.Jpn.Wildl.Res.Soc.23:6-12(1997)の表1のオスのデータを用いた。

図①で分かるように、スズメの成長速度は、カルガモより速い。カルガモの場合は、巣から出て50~60日で親鳥から独立すると考えられ、我々は、巣を出た小さなヒナから、ほぼ成鳥に近い幼鳥までの姿を見ることができる。

一方、図①のスズメは、最後の測定から2~3日後に巣立ったそうである。その時の体重は、成鳥とほぼ同じである。従って、我々が自然界で見る巣立ち直後のスズメの幼鳥は、すでに親鳥とほぼ同じ大きさになっている。この事情は、ツバメやカラスも同様である。親鳥は筋肉が発達して引き締まった体型であるが、幼鳥が「餌乞い」で大げさな身体の動きをしている場合には、親鳥より大きく見えることもありそうである。

早成性・晩成性については、主に、フランク・B・ギル著”鳥類学”(新樹社、2012)による。(4月6日・記)

文・写真 松浦興一

因島で見た野鳥【4】スズメ

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