2015年6月13日 / 最終更新日 : 2015年6月20日 times 始まりと終りに 「始まりと終りに」故仲宗根一家に捧ぐ【15】第三章 呼び戻されて 整理した「日記」を清子の妹の伯母にも送った。彼女は松本家にこだわっており、父が他界した途端に「あんた青木家から松本家にもどっておいで」と言うほどだった。 私は意を決して質した。 「母さんが結核にかかったのは空襲のことが関 […]
2015年6月6日 / 最終更新日 : 2015年6月14日 times 始まりと終りに 「始まりと終りに」故仲宗根一家に捧ぐ【14】第三章 呼び戻されて 昨年の初夏、岸和田市に住む長姉と電話で生母清子のことを語り合った。その会話はおのずと清子の日記のことに及んだ。私がそれを読んでから15年が過ぎていた。 10歳違いの長姉は、病弱な清子に代わって母のような存在だった。 「あ […]
2015年5月30日 / 最終更新日 : 2015年6月6日 times 始まりと終りに 「始まりと終りに」故仲宗根一家に捧ぐ【13】第三章 呼び戻されて 生まれ故郷に住み直すようになって私の人生は逆流した。人生の歯車は、凄まじい勢いで逆回転し始めたのである。有無を言わさず、「生後十カ月の空襲」に引き戻されたのである。 あらためて流れを整理してみた。 1991年(平成3)7 […]
2015年5月23日 / 最終更新日 : 2015年5月31日 times 始まりと終りに 「始まりと終りに」故仲宗根一家に捧ぐ【12】第三章 呼び戻されて 私は生母清子のことを父から教えられ大きく変わった。清子を追い求めて故郷に帰ってきたのではないか。今もなお清子が私を導いているようだ。清子が私を呼び戻したのではないか。 「もしかしたら、そのうちいつか故郷に帰って住むように […]
2015年5月16日 / 最終更新日 : 2015年5月23日 times 始まりと終りに 「始まりと終りに」故仲宗根一家に捧ぐ【11】第三章 呼び戻されて ふり返ってみるに、われながらよくぞ生まれ故郷に戻ってきたものだと思う。40歳代半ばであった。家族もよくついてきてくれた。 自らの生きがいであった政治活動を捨てた虚脱状態を彷徨っているなかで、そのエネルギーはどこから生まれ […]
2015年5月9日 / 最終更新日 : 2015年5月16日 times 始まりと終りに 「始まりと終りに」故仲宗根一家に捧ぐ【10】第三章 呼び戻されて 大学二年から40歳代のなかごろまで、この道しかないと決めて歩んできた政治運動である。それから身を引いてしばらくの間は虚脱状態を漂うことになるのだが、突然私は、思いがけぬことを口走るようになった。 「生まれ故郷に帰ろうか」 […]
2015年4月27日 / 最終更新日 : 2015年5月1日 times 始まりと終りに 「始まりと終りに」故仲宗根一家に捧ぐ【9】第二章 はじめての沖縄 破防法裁判の証言集が出版されたことを思い出し、インターネットを通じて古本で買い求めた。ページを開くと当時が一気に蘇ってきた。とりわけ沖縄関係の証人は思い出深い。30年もの前のことである。 国会議事堂に近接する参議院議員会 […]
2015年4月20日 / 最終更新日 : 2015年4月27日 times 始まりと終りに 「始まりと終りに」故仲宗根一家に捧ぐ【8】第二章 はじめての沖縄 初めての沖縄、初めての飛行機である。 旅行や観光に興味のない私である。破防法裁判がなければ、沖縄に行くことも、飛行機に乗ることもなかったであろう。こうして裁判に関係して、何度も沖縄を訪ねるようになった。今から、およそ30 […]
2015年4月11日 / 最終更新日 : 2015年4月20日 times 始まりと終りに 「始まりと終りに」故仲宗根一家に捧ぐ【7】第二章 初めての沖縄 激闘の翌朝、傷ついた身体を横たえながら読んだ新聞に、学生たちの行動が都心部において繰り広げられた記事が大きく載っていた。そして私に、破壊活動防止法の扇動罪などで逮捕令状が出されていることを知った。 私は半年以上も前から、 […]
2015年4月4日 / 最終更新日 : 2015年4月11日 times 始まりと終りに 「始まりと終りに」故仲宗根一家に捧ぐ【6】第一章 もうひとつの甲子園 1969年4月28日沖縄デー。政治的焦点は、政府の中枢中の中枢である首相官邸に当てられた。 その日、首相官邸や国会議事堂に向かうデモは禁止されたが、学生たちは官邸占拠の方針を変えなかった。問題は、どのようにしてそこに到達 […]
2015年3月28日 / 最終更新日 : 2015年5月1日 times 始まりと終りに 始まりと終りに」故仲宗根一家に捧ぐ【5】第一章 もうひとつの甲子園 1969年4月――決して忘れられない、特別の4月である。50年近くが経とうとしているというのに、鮮やかに覚えている。 私は24歳で、広島大学に籍を有していた。6年間もの学生運動の総決算として沖縄闘争に全身全霊を傾けた。「 […]
2015年3月21日 / 最終更新日 : 2015年3月21日 times 始まりと終りに 「始まりと終りに」故仲宗根一家に捧ぐ【4】第一章 もうひとつの甲子園 私は時代の子であったと身にしみて思うのである。日本の政治が大きく変わる節目を大学生として過ごすことになったからである。 1963年に広島大学に入学。翌年の夏に学生運動を始めた。1967年正月、七〇安保再改定に照準を合わせ […]
2015年3月14日 / 最終更新日 : 2015年3月14日 times 始まりと終りに 「始まりと終りに」故仲宗根一家に捧ぐ【3】第一章 もうひとつの甲子園 私が大学に入学したころすでに沖縄では、祖国復帰運動が高まっていた。しかしそのことに関心を持つことはなかった。学生運動を開始し、政治や社会問題に目覚めても、沖縄で島をあげて巻き起こっている運動の意味が理解できなかった。 し […]
2015年3月7日 / 最終更新日 : 2015年3月7日 times 始まりと終りに 「始まりと終りに」故仲宗根一家に捧ぐ【2】第一章 もうひとつの甲子園 私は中学校、高校を通じて野球に熱中し、甲子園球場に強い憧れを持った。だが、当然のことではあるが、全国大会出場など叶うはずもなかった。 今思うのだ。別の意味で甲子園は私にとって青春の球場になったようだ。私は甲子園で、沖縄を […]
2015年2月28日 / 最終更新日 : 2015年2月28日 times 始まりと終りに 「始まりと終りに」故仲宗根一家に捧ぐ【1】序章 「始まりと終りに」。「始まり」は人生の始まり、「終り」は人生の終りのことである。 ところで私は、自分の人生の始まりは二度あると思っている。いうまでもなく一度目は、誕生した昭和19年10月11日である。松本隆雄と清子の3男 […]