短編小説ショパンの調べ【20】

静子は、店の前を掃こうと思って、外に出て驚いた。もう明るい筈の町が、まだ夜の様に暗い。ふと見上げてみると、アーケードの上に一夜の内に積もった雪が、すっぽり覆い、山口の冬の訪れを告げていた。因島では珍しい雪も、山口での冬は厳しそうだった。

結婚が決まって、必死で編んだモチーフの炬燵かけ英雄はそろそろ出して、使っているだろうか。黄、赤、青と彩りを考えて、編みあげたのだけど、小品と違って、炬燵かけを仕上げるのは、大変な重労働だった。しかも、結婚への準備をしながら、自分の形見として、2ヶ月の間に完成させる為、寸暇も惜しまず毎夜、遅く迄針を動かしたのだ。

商店街の入り口に、積もった雪が、時折パアッと風に煽(あお)られて、花の様に舞った。静子は、結婚して初めての、山口の冬を迎えようとしていた。

松本肇(因島三庄町)

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