因島で見た野鳥【138】アカハジロ

世界的にも稀少で絶滅の恐れがあるアカハジロが飛来した。カモの一種で、渡りの途中、稀に日本に立ち寄る旅鳥である。まず、観察した野鳥の写真を示し、それをアカハジロ・メスとした根拠を述べ、次に、稀少性について述べる。

写真①は、昨年11月24日から1週間ほど因島に滞留したカモの写真、

写真①アカハジロ・メス

写真②はそれが翼(つばさ)を広げたところ、

写真②アカハジロの翼帯

写真③は前号で取り上げたメジロガモ・メスと一緒にいるところである。

写真③アカハジロ・メス㊧とメジロガモ・メス㊨

このカモは、潜水して採餌(さいじ)していたので、潜水採餌ガモ(海ガモ)に属する。

写真①で下尾筒(かびとう、尾羽の下側の羽)が白く、写真②で風切(羽)に白い翼帯(よくたい)があることが分かる。写真には写っていないが、腮(さい)ともいう喉元(のどもと)に白い斑(はん)点もある。これらのことから、このカモはスズガモ属(ハジロ属)のメジロガモ(全長41cm)かアカハジロ(全長45cm)である。

さらに、写真①のカモは、頭部・胸・背面は黒褐色で、クチバシの付け根に淡い色の斑があり、脇がやや白く、目は褐色である。

写真③でメジロガモ・メスより大きく、さらに、メジロガモより赤みが少ないことが分かる。これらから、このカモはアカハジロ・メスと判断できる。

アカハジロとホシハジロなどの交雑種の可能性を完全には排除できないが、あえて交雑種とする理由もないので、アカハジロ・メスとして因島で見た野鳥のリストに加える。

アカハジロのオスは、頭部に緑色の光沢があり、胸は赤褐色で、目は白い。エクリプスはメスに似ているが、目は白い。アカハジロの鳥名の由来は、よく分からないが、おそらく、オスの胸が赤褐色であることに由来していると思われる。

環境省のガンカモ類の生息調査報告を用いて、アカハジロの全国での個体総数を図①に示す。

1979年に200羽と突出して多いが、近年は、年に数羽程度である。広島県では、1970~2021年の52年間の総数が11羽である。この調査は定時・定点(広島県内で約300地点、全国で約9300地点)観測なので渡来したカモの全数ではないが、渡来が、近年少なくなり稀であることが分かる。

IUCN Red List(国際自然保護連合レッドリスト)によると、アカハジロは、ロシアのアムール川とウスリー川流域から揚子江流域で繁殖し、主に中国中東部で越冬する。近年では乱獲と生息地の環境悪化で、急速に数を減らし、現在では、世界中で1千羽以下と推測されている。

ICUNは、絶滅あるいはその危険がある種を、次のようにランク分けしている。

  • EX=絶滅種
  • EW=野生絶滅種(日本ではトキ)
  • CR(Critically Endangered)=絶滅寸前種(日本では、コウノトリ他)
  • EN=絶滅危機種(ヤンバルクイナ、セイタカシギなど)
  • VU=危急種(ハヤブサ他)
  • NT=準絶滅危惧種(ミサゴ他)

アカハジロは2012年にCRに指定された。世界で1千羽にも満たない絶滅寸前種が因島で見られたことに、単純に驚いている。(5月8日・記)

文・写真 松浦興一

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