因島で見た野鳥【102】メジロガモ 今年もやって来た

メジロガモは、本連載【31】で「初見の鳥」として紹介したカモ科スズガモ属の一種で、全長41cmの海ガモ(潜水採餌ガモ)、オスの体羽の特徴は、本連載【31】で述べたように、頭部から胸は濃い赤褐色で、背は褐色、脇は赤褐色、目が白い。

主に、ヨーロッパや西アジアで繁殖し、ナイル川流域やインド北部などで越冬する。日本は繁殖地でも越冬地でもないが、因島に飛来したメジロガモを、2021年1月に石田憲二さん(因島土生町)が発見し、3月25日にもいた。

2021年1月のメジロガモ

写真㊤は、今回飛来したメジロガモ・オスである。因島で観測できた期間は、2017年1月11日~3月29日、同年12月27日~2018年1月1日、同年11月5日、2021年1月6日~3月25日の4回、いずれもオス1羽、島内で2、3箇所の野池をホシハジロとともに行き来していた。

写真㊥は、羽を広げたところ。風切(羽)には太くて白い翼帯が目立ち、ホシハジロやキンクロハジロなどのとともににスズガモ属に属する。

羽を広げたメジロガモ

写真㊦は、潜水でドングリを取って来たところ。多少苦労したように見えたが、丸呑みした。オシドリやホシハジロと同様に、ドングリを好むようだ。

ドングリを丸呑みするメジロガモ

日本でメジロガモが初めて観測されたのは1959年とされている(フィールドガイド日本の野鳥)。渡辺・北沢(山階鳥学誌38:60―64、2006)の「表1日本におけるメジロガモの記録」によれば、次に観測されたのは1990年で、2005年までに総数三十数例である。その後の調査報告を筆者は知らないが、「日本野鳥の会」の「野鳥写真図鑑」に投稿されているメジロガモの写真総数(2006―2020)は、筆者の2017年に因島で観測した例も含めて19例である。その他、インターネット上などでも報告例があるし、未発表の観測例もあるとは思われるが、いずれにしろ、日本では、非常に珍しい種である。因島に5年間に4度も渡来したことは興味深く、再度本連載でメジロガモを取り上げた。日本への渡来数が増えているのかもしれない。

メジロガモは、国際自然保護連合が作成した「絶滅の危機に瀕している種のリスト(1996レッド・リスト)」に含まれている。

動物世界遺産レッド・データ・アニマルズ1(講談社2000年5月)によると、かっての繁殖地のいくつかは、すでに絶えており、かっては多数が渡来したアフリカ西部とナイル渓谷の越冬地でも非常に少なくなっている。減少の原因は、各地の湿地干拓や過度の狩猟とされている。

写真・文 松浦興一(4月1日・記)

因島で見た野鳥【31】メジロガモ

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