因島で見た野鳥【60】キセキレイ
スズメ目セキレイ科の一種で、全長20㎝、因島では冬鳥として飛来する。水辺に単独でいることが多い。体型は、セグロセキレイやハクセキレイに似ているが、やや小型で、人への警戒心も強い。頭、頬、背は青灰色で、翼は黒褐色。腹から腰にかけて鮮やかな黄色で、尾は長い。飛ぶと黄色が目立つ美しい鳥である。
野鳥は危険を感じると短い声を発して逃げる。静かに逃げた方がよさそうだが、捕食者へ気付いていると知らせ、捕食者に狩りを諦めさせる為だとの説がある。捕食者は、通常、不意を襲わなければ狩りは成功しない。セキレイは絶え間なく尾を上下に振る。これも、「警戒している」という、捕食者への信号かもしれない。
鳥に限らず、多くの動物は逃げる直前に、逃げる為には不利と思える動作をして逃げる。これは、「不利なことをしても(ハンディキャップを負っても)逃げ切れるほど自分は優れている」という捕食者への信号であるとの解釈がある(Am.&Av.ザハヴィ:生物進化とハンディキャップ原理)。これに対し、生物進化を遺伝子レベルで説明するR・ドーキンスは、「利己的な遺伝子初版(1976)」で、ザハヴィの理論を、”「ハンディキャップ原理」というとてつもなくひねくれた考え方”と断じ、”私は信じていない”と述べたが、第3版(2006)の補注で、ザハヴィの理論を再評価し、「危険な…ふるまいは私たちには無謀に見えるかもしれないが、それを判断する資格があるのは自然の淘汰だけなのだ」と論じている。
門外漢の筆者は、これらの議論を正しく理解しているか甚だ怪しいし、その後の研究の発展も知らない。しかし、セキレイが尾を振るのが、ハンディキャップで自己の優秀性を顕示していることなのか、遺伝子にプログラムされたことなのかはともかく、天敵にも目立つように尾を振るセキレイが、自然淘汰を経て、我々の眼前にいる。野鳥を見ながら 、勝手な想いを巡らすのも楽しい。
(写真・文 松浦興一)
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