短編小説ショパンの調べ【21】

12月に入って、町の中は鉢植えのもみの木にカラフルな電球が飾られ、クリスマスムードを盛り上げてきていた。ジングルベルや、ホワイトクリスマスなどの曲が、連日、朝から晩まで流され、ショーウインドーには、橇(そり)に乗った、サンタクロースがトナカイに、引かれている。綿の雪の中、ポインセチアの赤い色が目立つ。

静子は幼い頃の、楽しかったクリスマスを、思い出していた。妹の芳江と二人で、お母さんが編んでくれた、赤いミトンの手袋をして、遊んで眠った日、翌朝起きてみると、枕元にお菓子と一緒に、ノート、鉛筆、靴下人形などが置かれていた。本当に、サンタクロースのおじさんが居ると、信じていたあの頃に、出来るものなら、戻りたい気持ちだった。

この年のクリスマスイヴ、静子は生まれて初めて、クリスマスパーティーに行く事になった。

近くのケーキショップ『ルヴェルディ』が、イヴの日だけ、店内を開放して、毎年パーティーを開くので、拓也が券を2枚買ってきていた。

夜7時過ぎに、連れ立って行くと、店内には、かなりの人が集まって、賑わっていた。

2メートルはあろうかと思われる程の、大きなケーキを中心に、ローストビーフやローストチキン、ババロア、シュトーレン…などが、豪華に置かれ、あちこちで、シャンパンを抜く音がしていた。

奇妙な面をつけて、踊っているナイスミドルの男達、日頃の悩みを今日一日は忘れ様として、酔い楽しんでいる姿を見ると、返って哀れさを感じずにはおれなかった。

二次会へ行く人達も、居るみたいだったが、静子は拓也と一緒に10時前には、自宅へ帰った。

松本肇(因島三庄町)

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