2016年7月16日 / 最終更新日 : 2016年7月20日 times 三庄小学校 父のアルバム【20】第三章 教師の信念 「義勇軍」送出は大きな傷を残した。冊子「義勇軍」を発刊した広島県退職校長会の丸子要一会長はそのなかで、次のように記している。 ―国策に応じて民族協和・大東亜建設・王道楽土を建設するという国是にしたがって義勇軍の送出に尽力 […]
2016年7月2日 / 最終更新日 : 2016年7月6日 times 父のアルバム 父のアルバム【19】第三章 教師の信念 父のアルバムのなかに私が釘付けになった写真があった。今回掲載した写真がそれである。父が関わった満蒙開拓青少年義勇軍の児童たちとの記念写真である。 私はその写真を発見する数年前に、父が「義勇軍」送出に関わっていたことを知っ […]
2016年6月18日 / 最終更新日 : 2016年6月29日 times 三庄小学校 父のアルバム【17】第三章 教師の信念 父が赴任したころの三庄小学校には初等科(義務教育6年)と高等科(2年)があった。初等科は戦後の小学校と同じ年齢で、高等科は戦後の中学1年と2年と同年齢のようである。 当時は、義務教育の初等科を卒業すると一般的には4つのコ […]
2016年6月4日 / 最終更新日 : 2016年6月21日 times 父のアルバム 父のアルバム【15】第三章 教師の信念 今なお父と私を繋いでいる一冊の書籍がある。それは、1984年(昭和59)に発刊された「ふるさと三庄」である。その冒頭には、「今のうちに、明治、大正の少年時代からの体験や記憶をまとめ、調べられることは調べておこう」と執筆者 […]
2016年5月28日 / 最終更新日 : 2016年6月6日 times 父のアルバム 父のアルバム【14】第三章 教師の信念 1991(平成3)年7月31日。この日は鮮明に記憶に残っている。46六歳になった私は、生まれ故郷に帰ってきたのである。 私のUターンの発端は、そのおよそ六年前の母の他界であった。父はひとりぼっちになった。 葬儀後、憔悴し […]
2016年5月21日 / 最終更新日 : 2016年5月30日 times 父のアルバム 父のアルバム【13】第三章 教師の信念 太平洋戦争末期に学徒動員された当時の大学生に会ったのは、私が学生運動を引退した直後だった。そのころの私は、二十数年間もつづく裁判の被告のひとりとして、その準備にとりかかっており、学生運動への社会的評価を探っていた。 「君 […]
2016年5月14日 / 最終更新日 : 2016年5月30日 times 父のアルバム 父のアルバム【12】第三章 教師の信念 父が他界して17年が過ぎた。よやく父の人生を書く決心ができた。それにしても随分遅くなったものだ。本当は私がUターンし、父と同居している時期にその作業をすべきだったのである。にもかかわらず、私にはそれができなかった。 何故 […]
2016年5月7日 / 最終更新日 : 2016年5月19日 times 父のアルバム 父のアルバム【11】第三章 教師の信念 父が生きた昭和は、戦争と動乱の時代であった。ここで言う昭和とは元年から20年までのことを指す。明治までさかのぼりその時代を概括的に見てみよう。 日本の近代史は、世界的な動向と関連して大きな戦争の連続であった。まさしく戦争 […]
2016年4月30日 / 最終更新日 : 2016年5月7日 times 父のアルバム 父のアルバム【10】第二章 昭和を旅する 与謝野晶子の「君死にたまふことなかれ」の全編をあえて読んでみたのは、父を意識したからである。 父は日露戦争に強い影響を受け、学生時代にその戦跡を訪れ感無量になった。私にとってその戦争は、どちらかと言えば他人事だった。その […]
2016年4月16日 / 最終更新日 : 2016年4月23日 times 父のアルバム 父のアルバム【9】第二章 昭和を旅する 与謝野晶子の「君死にたまふことなかれ」には、「旅順口包圍軍の中に在る弟を歎きて」と副題がついている。この詩はさらにつづく。全編を読むのは初めてである。つづけてみよう。 堺の街のあきびとの 舊家をほこるあるじにて 親の名を […]
2016年4月9日 / 最終更新日 : 2016年4月16日 times 父のアルバム 父のアルバム【8】第二章 昭和を旅する 青年期の父・隆雄は日露戦争に強い影響を受けたようだ。師範学校在学中に満州・朝鮮旅行に参加し、日露戦争の戦跡を見学した。そして、そこで感じた印象から、結婚後朝鮮行きを志望し努力したが果たされなかった。 ここでいう朝鮮行きと […]
2016年4月2日 / 最終更新日 : 2016年4月11日 times 父のアルバム 父のアルバム【7】第二章 昭和を旅する 父はどのような学生生活を過ごしたのだろうか。今さら叶うはずもないが可能なら語り合いたいと思う。私の学生時代は自分のことに精一杯で、特攻隊に命を散らせた学生たちに関心を寄せたが、さらに遡り父のその時代に想いを馳せることはな […]
2016年3月26日 / 最終更新日 : 2016年4月1日 times 父のアルバム 父のアルバム【6】第二章 昭和を旅する 父の回顧は地元の小学校時代に移る。 《御調郡三庄小学校へ転任―戦時下の教育》 昭和11年4月転任、概ね六十余名の児童を担任、入試のあるクラスが多い、上海事変・日支事変と拡大し戦時態勢下の教育が行なわれ、短現以外の若い教師 […]
2016年3月19日 / 最終更新日 : 2016年4月1日 times 父のアルバム 父のアルバム【5】第二章 昭和を旅する 父母や祖父母とのアルバムを通しての再会によって猛烈に昭和を旅してみたくなった。 教科書や公刊物の活字による歴史記述のいい加減さにうんざりしていた私である。家族の歴史を理解することを入口にして、日本や世界の歴史を眺めたら愉 […]
2016年3月5日 / 最終更新日 : 2016年3月16日 times 父のアルバム 父のアルバム【4】第一章 まさかの発見 父の死後誰も住むこともなく、まるで幽霊屋敷のようになった実家に、遺品を求めて久しぶりに入った私を霊気のようなものがつつんだ。 もしかしたら他界した家族の皆が私を招いたのかも知れない。それは、同行した妻や娘には分らない私独 […]
2016年2月27日 / 最終更新日 : 2016年3月16日 times 父のアルバム 父のアルバム【3】第一章 まさかの発見 何年前からのことだろうか、生母の写真を探し始めたのは。彼女の写真を一枚も持っていない私は、長姉や叔母に頼んで譲ってもらった。遺影とは異なる映像で母の様々な表情を知りたかったのである。 ところが、一瞬にしてあっけなく、大量 […]
2016年2月20日 / 最終更新日 : 2016年3月2日 times 父のアルバム 父のアルバム【2】第一章 まさかの発見 2階の一室には養母が集めた各種の文学全集が棚に置かれていた。これらは長兄に依頼されたのだが、私が保存することにした。本の重さたるや大変なもので移動に汗を流すことになる。 その部屋は大学受験の際、私が使用していたところで、 […]
2016年2月13日 / 最終更新日 : 2016年2月21日 times 因島三庄町 父のアルバム【1】はじめに 実家を継いだ長兄から電話が入った。 「三庄の家を壊すので必要な物があれば早めに取り出してくれんか」 一昨年の春のことである。長兄と次兄が実家の解体の準備をしていることは知っていたので、ある程度の覚悟はできていた。しかし、 […]