因島で見た野鳥【151】エゾビタキ幼鳥

エゾビタキを前稿【150エゾビタキで取り上げたが、その個体は10月初旬に観測された成鳥であった。今回は、10月下旬に観測されたエゾビタキの幼鳥を紹介する。

今回の個体の下面が写真①で、前稿の「写真①エゾビタキ下面」と同様に明瞭な縦斑があり、エゾビタキと分かる。

写真②は今回の個体の側面で、脇から背・尾に白い斑点があり、翼にある白い横線も目立つ。

写真①エゾビタキ幼鳥側面

これは、今年の春に生まれた幼鳥で、最初の冬を迎える羽衣(第1回冬羽)の特徴である。エゾビタキそのものを観測できる機会は、それほど頻繁とは考えられず、幼鳥を見ることは一層稀だと考えられるので、今回取り上げた。

渡り鳥の子供は、春に繁殖地で生まれ、秋に、成鳥と同じく、繁殖地を出発し越冬地に渡る。この時の幼鳥の羽衣が第1回冬羽である。

ハクチョウやツルなどの大型の渡り鳥は、繁殖地から越冬地に渡るときには親子の家族で渡り、越冬地でも家族で過ごす。

樋口広芳(鳥たちの旅NHKブックス2005)によると、

「越冬地(鹿児島県出水)から繁殖地(ロシア)へ戻るマナズル親子の経路を追跡できたA、B二組の家族のうち、A組は出水を同時に出発したが、別々の経路で別々の繁殖地に到着し、B組は、同じ経路で同じ繁殖地に到着し、渡りを終えて親子は離れ離れになった」

とのことである。B組の親子は、ほぼ1年間を一緒に過ごしたことになる。

本連載【134】スズメの幼鳥で述べたが、スズメは、孵化してほぼ2週間程度で巣立ちをし、その後約1週間で独り立ちし、その後は親子は別々に行動する。エゾビタキも、スズメと同様に、孵化後30~40日を過ぎれば親子は別々に行動し、越冬地に渡るときは別々に渡ると考えられる。子供(幼鳥)は、なぜ渡るのかも分からず、越冬地がどこにあるのか、何処を、どれだけ飛んだら越冬地につくのかも分からず、独りで、生まれ故郷を旅立つ。

因島で見たエゾビタキの幼鳥は、北海道より北方にある繁殖地から約2,000km飛んで因島に来て、これから越冬地へ、さらに3,000kmほど飛ぶ。無事、越冬地に渡り終え、来春には成鳥として生まれ故郷の繁殖地に戻ることを願うばかりだ。

鳥は長距離飛行できる仕組みを持っており、その一つが本連載【148】鳥の呼吸システムであるが、知れば知るほど、「不思議」が増える。

写真・文 松浦興一(10月27日・記)

因島で見た野鳥【150】エゾビタキ

因島で見た野鳥【134】スズメの幼鳥

因島で見た野鳥【148】鳥の呼吸システム

 

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