ふるさとの史跡をたずねて【198】六部地蔵(因島三庄町八区)

六部地蔵(因島三庄町八区)

三庄町八区の集会所の少し前に小さな地蔵堂がある。その地蔵堂の中を見て驚いた=写真

「六部地蔵」と書いているではないか。これまでに紹介したように廻国供養塔だけのものと、それに地蔵さんがついたものがあった。しかし六部の地蔵さんだけというのは珍しいのではなかろうか。六地蔵、笠地蔵、身代わり地蔵、水子地蔵、芋地蔵、果てはボケ封じ地蔵などと様々なお地蔵さんがあるが、六部地蔵というのは他に知らない。

前回の円福寺跡の廻国供養塔を建てた六部行者とこの六部地蔵の行者は、距離的に考えて別人だと思う。そしてこちらの行者も地域から一目置かれていたということであろう。

さてお地蔵さんとは、一体なんだろうか。お地蔵さんは子供でも知っている。石仏はなんでもお地蔵さんだと小さい子は言う。おそらく笠地蔵の影響だろう。絵本の中でも多くの外国の童話の中にあって国産童話として十分太刀打ちできる魅力的な話だ。

観音さんと地蔵さんの区別がつかないのは子供たちだけではない。芋地蔵と芋観音の表記に私は戸惑った。地域によって違うのかと思っていたら、そうでもないようだ。村四国でもお地蔵さんと呼ぶ人もいる。大師像をお地蔵さんと呼ぶのはどうなのだろうか。ご本尊の方は全てが観音菩薩というわけではない。如来もあれば地蔵菩薩もあるから、お地蔵さんと呼んでも全てが間違っているわけではない。

お地蔵さんも観音さんもどちらも菩薩である。仏教界は平等かと思っていたが、そうではない。最高位が如来で、悟った人という。次が悟りを目指して努力している人という意味で菩薩があり、その下が羅漢で、尊敬される人たちという意味。本によってはその区別が曖昧で互いに矛盾したりするのだが、私はそのように解している。

観音菩薩は『法華経』や「浄土三部経」といったポピュラーなお経に出てくるので分かりやすい。一方、地蔵菩薩の方は観音菩薩より庶民的で親しみやすいせいか多様である。その分意味も多様で複雑である。また典拠となるお経もポピュラーでなく、読んだことがなく私には説明できない。

(写真・文 柏原林造)

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