因島で見た野鳥【62】ノビタキ
スズメ目ヒタキ科の一種で、全長13cm、メジロよりやや大きいがスズメより明らかに小さい。東南アジアで冬を過ごし、夏鳥として、本州中部の高原や北海道の低地に渡り、繁殖する。 夏羽のオスは、頭部から喉・後頚・背・翼・尾は黒く、肩に白斑がある(フィールドガイド日本の野鳥)。低い草木の先端に止まり、「ヒーヒョー ヒョロリー」などと澄んだ声でさえずり、高原のハイカーなどへ初夏の到来を告げる人気の鳥である。
筆者が因島で見たのは、秋に越冬地へ渡る途中に立ち寄った冬羽のノビタキである。冬羽は全体として茶色で背には黒色の縦斑があり、下面は淡橙黄色、オスはメスに比べやや黒みが強い。草木の先端で「ヒッ、ヒッ」と地鳴きし、飛び立っては同じ所にとまることを繰り返す。一週間ほどは因島に滞在していると思われる。一方、宮岡利一の写真集「尾道市向島の野鳥たち」によると、夏羽のノビタキが春に向島で観測されている。越冬地から繁殖地へ渡る途中であろう。
ノビタキは、本州伝いに渡ると考えられており、これは、宮岡さんや筆者の観測結果と一致する。ところが、森林総研の山添らの調査(20160822_prelease)によれば、北海道のノビタキは、本州を経由せずに直接大陸に渡り、大陸を南下して越冬地に向かう。1万3千年前には、北海道とサハリンは草原でつながっており、ここを渡りのルートにしていた可能性があるとのことである。それにしても、あの小さな体で「渡り」をすることには驚かされる。次号から、表題の種に限定せずに、「渡り」などについてのコメントも付け加える予定である。
ヒタキ科の名の由来は、地鳴きが、火打ち石を叩いた時の音に似ているからとする説がある。
(写真・文 松浦興一)
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