因島で見た野鳥【92】タシギ
チドリ目シギ科の一種で全長26cm。世界に広く分布しており、ユーラシア大陸や北米大陸の北部で繁殖し、東南アジアや北米大陸南部などで越冬する。ずんぐりとした体型だが、長距離を飛ぶ。
本連載「因島で見た野鳥(43)」で、初見の鳥として取り上げ、(84)で再び取り上げた。(43)では冬鳥か旅鳥と述べ、(84)で春と秋に短時日しか観測されないので旅鳥であろうと述べた。いずれの記事でも、タシギは、ハリオシギやチュウジシギに酷似しており、野外での識別が困難なので、タシギ(類)として紹介した。
2020年11月中旬の数日間、タシギ(類)としている野鳥を見た。その一例が写真㊤である。この写真だけでは、タシギと特定はできないが、飛び上がった姿の一部が撮影できた=写真㊦。
これには、次列風切(羽)の先端に白い帯状の模様が見える。ハリオシギやチュウジシギには、このように明瞭な白い翼帯は無い。日本の中部地方以北に夏鳥として来るオオジシギにも、この白帯はない。したがって、今回見たシギはタシギで、他の3種のシギではない。(43)や(84)で紹介した鳥が、タシギかその他のシギかは不明。
タシギの英名は、「common(ありふれた)snipe(シギ)」。タシギは日本でも狩猟鳥で、広く狩猟の対象とされ、「snipe」は「狙い撃ち」の意味もある。狙撃手をスナイパー(sniper)という。愛鳥家にとって心地よい話ではないかもしれないが、これも一つの事実である。(2020年12月12日記)
写真・文 松浦興一
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