芙美子像を左に見ながら、車は駅前のしまなみ交流館にある駐車場に止めた。

バスターミナルに行くと、赤と緑のツートンカラーのレトロなバスが止まっていた。好きっぷラインといって、観光地近くのバス停を巡回してくれるという。健吾と麗香は、切符を買いバスに乗りこんだ。

30分毎に出発するというバスは、二人を乗せて、10分程して出発した。さっき車で走って来た道を、東に向かって走っている。右手にトランクと傘を横に置き、腰をかがめている芙美子像を見ながら、3つ目のバス停、長江口（ながえぐち）で下車した。

JRが走っている、高架橋をくぐり抜けると、千光寺山ロープウェイ乗り場は、目の前にあった。丁度昼近く、そのままロープウェイには乗らず、15分毎にピストン運転しているというので、近くの「茶房こもん」に入った＝写真。

店内は、若者達で混雑している。入って右側の、木の椅子に腰掛け、シナモンバターワッフルの、コーヒーセットを注文した。テラスに置かれた、白いテーブルの前にも、何組かがコーヒーを飲んでいる。メープルシロップをかけ、軽い昼食を済ませてから、ロープウェイに乗った。

陽気も良く、土曜日という事もあって、腰板が淡い青色の『さくら号』には、家族連れなど自分達も含めて、10人余りの客が乗っている。窓外に目をやると、市内に点在する家々やお寺を見下ろし、その景色は素晴らしいものだった。

松本肇（因島三庄町）

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