短編小説ユトリロの街【12】

麗香は三宮から神戸に行き、新神戸から新幹線で新尾道迄帰った。

丁度待っている尾道バスに乗り換え、因島土生港前で下車した。

そこに4、5台止まっているタクシーの、一番前の平和タクシーで、自宅を通り越し、山荘で降りた。

愛の為ならウサギも月に住むという 神様お願い私を月に連れてって麗香の心は千々に乱れ、軽い気持ちでアリスへ行った事を後悔していた。

顔で明るく笑っていても

たとえば心は鎖につながれて

羽根をなくした天使のように

雨の歩道をうつろに歩く

愛し傷つき泣き濡れて

悔やみ蔑(さげす)み自分をなくし

小さな箱に虚しさつめて

強く生きてゆこうとしても

心に罪の十字架だけは

自分の中から消えはしない

六条の御息所(みやすどころ)が、光源氏の愛人でいながら、正妻の葵の上を呪い殺した様に、立場は逆であっても、サヤカが麗香を憎み、非難し、罵倒してくれれば、辛くても返ってその方が精神的にいくら楽だっただろうか。

奥さんが居る身と知り乍ら、健吾を愛した自分に非があるのに、サヤカは余りに優し過ぎた。

松本肇(因島三庄町)

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