因島で見た野鳥【143】コサメビタキ

写真①②は、遠方の暗所にいた同一個体の写真で、画質は悪いが、頭部と背は灰褐色で、目が大きく見え、目の周り(アイリング)は白くて、目先も白く、胸から腹にかけて汚白色で明瞭な縦斑がない。また、下嘴の基部に黄色味が確認できる。これらのことから、写真の野鳥をコサメビタキと判断して、初見の鳥として、「因島で見た野鳥」のリストに加える。コサメビタキは全長13cmで、雌雄同色である。

日本鳥類目録改定第7版(日本鳥学会)に掲載されているヒタキ科は、16属51種の鳥で構成されている。このヒタキ科には、ツグミやイソヒヨドリのような中型の野鳥種(属)とスズメ大に近い小型の野鳥種(属)に分かれる。小型種の属の一つにサメビタキ属があり、コサメビタキ、サメビタキ、エゾビタキ、ムナフヒタキ、ミヤマヒタキの5種が含まれている。目が大きくて、アイリングが白く、愛らしくみえる鳥で、鮫皮の色をしているのでサメビタキと呼ばれた(菅原・柿澤著 鳥名の由来辞典)。

ミヤマヒタキは、羽衣に橙色が含まれ、サメビタキ、エゾヒタキ、ムナフヒタキには、胸から腹にかけて明瞭な縦斑があるので、写真の野鳥は、これらの種ではないと考えられる。

ムナフヒタキとミヤマヒタキは、本州では極めて稀にしか観測されない迷鳥である。エゾヒタキは北海道以北に夏鳥として渡来し、サメビタキは本州中部地方以北に夏鳥として渡来し、中国地方では旅鳥であろう。コサメビタキは、九州以北に夏鳥として渡来し繁殖する。エゾヒタキ、サメビタキ、コサメビタキはよく似ているが、コサメビタキが最小である。なお、種の同定で参考にした主な資料を文末に示す。

平安時代の清少納言による随筆集・枕草子 三十九「鳥は」では、20種類の鳥が取り上げられ、7番目が「ひたき」である。「ひたき」は、スズメ大の「ヒタキ類」のことと考えられるが、平安の世でも愛でられていたのであろう。「因島で見た野鳥」では、ジョウビタキ、ノビタキ、ルリビタキ、ノゴマなどのヒタキ類をすでに紹介した。

  1. 高野伸二著・フィールドガイド日本の野鳥・増補改訂版・2008年
  2. 大西敏一他・日本鳥学会誌59(2)185頁~188頁・2010年
  3. 北沢宗大他・日本鳥学会誌65(1)47頁~50頁・2016年
  4. 深井宣男・鳥類標識誌22・57頁~63頁・2010年

(6月29日・記)

文・写真 松浦興一

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