因島で見た野鳥【114】オシドリ

カモ科オシドリ属の一種で、全長45cm、コガモより少し大きい。

写真①は、とべ動物園で撮影した繁殖羽のオシドリのペアである。

写真①繁殖羽のオシドリ(左:オス、右:メス)

オスは派手な色彩で、頭頂は緑色で後頭の派手な冠羽につながり、頸に筋状の羽がある。胸は紫色、背面に三角帆状の大きなオレンジ色の羽を立てている。イチョウの葉に似ているので銀杏羽とも呼ばれるが、三列風切の一枚である。

メスは灰褐色で目の周囲から後方にかけて白い線がある。オスの非繁殖羽はメスに似て地味である。

昨年の冬、因島土生町の石田憲ニさんが、因島でオシドリ・メスを確認した(写真②)。

写真②オシドリ・メス(石田憲ニさん撮影)

今年秋に、筆者が遠方のオシドリ・オス2羽を撮影し(写真③)、画質が悪いが、オシドリと確認できた。これは非繁殖羽(エクリプス)から繁殖羽へ換羽中と思われる。

写真③オシドリ・オス

「因島にはオシドリはいないのか?」と、しばしば尋ねられるが、因島でオシドリを確認できたことと、今後も見る可能性があることを報告する。

オシドリは樹木に囲まれた池や川に多く、樹上にいることも多い。中国地方の平地では冬鳥、広島県の北部では繁殖例もあり(広島野鳥図鑑、日本野鳥の会広島県支部、1998年)、季節によって国内を移動する漂鳥に分類されている。

写真②③のオシドリは、多分、移動の途中に因島に立ち寄ったものと思われる。

奈良時代から、「をし」あるいは「をしどり」として知られており、オシドリの漢字表記は鴛鴦で、「えんおう」とも読む(柿澤・菅原著”鳥名の由来辞典”柏書房、2005年)。

繁殖期を迎えた派手な羽衣のオシドリ・オスが、いつもメスに寄り添っていることから、仲の良い夫婦を「オシドリ夫婦」と例えたり、結婚のはなむけの言葉として「鴛鴦(えんおう)の契り」などがある。鳥類学者・山岸哲は、「オシドリは浮気をしないのか鳥類学入門」(中公新書、2002年)で、”「鴛鴦の契り」も、結婚式の式辞で述べられるほど大したものではない”と述べている。

オシドリも含めカモ類は、メスが卵を産み終わると、オスはメスから離れ、子育てには全く関与せず、次の繁殖期に新たに「つがい形成」を行う。オシドリはオシドリの規範(?)で生きており、人の規範には関係ない。繁殖期ごとに新しい「番い」で繁殖することは、多様な子を産み、環境変化への順能力の高い子が生まれる可能性を高める。門外漢の筆者の想像であるが、オシドリの繁殖形態は、合理的な戦略の一つであろう。

オシドリ・メスの写真を提供していただいた石田憲ニさんに謝意を表します。(10月31日・記)

文 松浦興一 写真 石田憲ニ・松浦興一

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