ふるさとの史跡をたずねて【163】田熊村四国八十八ケ所(因島田熊町)

田熊村四国八十八ケ所(因島田熊町)

前回の三庄町の山四国八十八ケ所は限られた地域に集中していたが、町内の幅広い地域に分布している場合がある。これらの多くは江戸時代後期にそれぞれの地域が村と呼ばれていた頃建立されたと考えられ、村四国八十八ケ所と呼ばれている。

ここまでくると、因島全体のものもあり紛らわしいので、慣例により、四国四県を巡るものを本四国、因島全体を巡るものを島四国、町内で完結するものを村四国と略称することにしよう。因島の場合は島四国も村四国もほんのわずかの例外を除いて、本四国と同じ名称であるが、生口島や大島では、島四国のある元の建物、例えば薬師堂とか、お寺の名前を番号の次に記し、本四国の寺名を小さく書いてある。また、佐木島の場合は番号の次にご本尊の○○観音菩薩などと書いており、戸惑う。

ということで因島に限って話を進めれば、同じ寺名ということは、その手続きや流儀はともかく、本四国の各寺を勧請したということである。私事を記せば、本四国を巡拝している時には本堂前で般若心経を奉納するだけで、ご本尊のことは意識したことはなかった。しかし、因島でその亜流を考える時は、何を勧請するかといえば、言うまでもなくご本尊で、それが無ければ勧請したことにならない。そして、本四国では大師堂でも般若心経を奉納するという流儀に従えば、弘法大師様は不可欠ということになる。だから、島四国でも村四国でも、ご本尊と弘法大師像がセットで一札所ができるのである。このことが忘れられて、片方だけが移されたり、ご本尊が二体あるお堂があったりするから、これらの大師信仰は多くの人たちから忘れられていたということであろうか。

そのような不揃いのお堂もあるが、壁や塀の中などに作られたお堂が町内に多くあるのは田熊町も例外ではない。そしてその多くが田熊村四国八十八ケ所であろう。写真は浄土寺の鐘楼の近くから上へ出て、岡野明神の方へ進んでいく道の、すぐのところのもので、1番霊山寺であると思われるが、証拠がないものは、他との関係で変わることもある

(写真・文 柏原林造)

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