ふるさとの史跡をたずねて【153】松尾神社(因島田熊町八幡神社)

松尾神社(因島田熊町八幡神社)

重井八幡神社の境内神社を一つずつ書いていく予定であった。そして次は松尾神社の予定で、そのつもりで時々要点を頭の中で数えていたとき、突然田熊町の亀甲山八幡神社にも松尾神社があったことを思い出した。どちらを書いても違いがないようなので、今回は田熊町の写真を揚げる。しかし、前回書いたような次第で八幡神社に高良神社があるのはわかるのだが、ともに松尾神社があるわけは、今の私の知識ではわからない。

境内神社ができる理由には次のようなパターンがあると思う。ひとつめは、本社を勧請したとき、摂社なり末社も一緒に勧請した場合。次は、近くに面倒を見る人がいなくなったお宮があって、そのお世話をしているうちにいっそうのこと引き取って、手厚く祀ったという場合。三つめは、氏子の側から、幾らかの祭祀料をつけて奉納される場合。このタイプが多いのではなかろうか。松尾神社もこれに属すると思う。そして最後は、祭祀料も払わず勝手に祀られてしまう場合。これは、管理を持て余して捨てられた場合と結果としては同じことである。

さて、三つめの場合は、さらに二つに分類できる。ひとつは自分たちだけがご利益にあずかるもの。もうひとつは、他の人たちもご利益にあずかることもねがっているもの。ほとんどが後者である。

では、酒の神様である松尾神社の場合はどう考えればよいのであろうか。おそらく酒造業者らによって奉納されたものであろう。そして、それ以外の人には関係ないと思う。そういえば、この連載の初めの頃紹介した鍛冶神社というのがあった。このように職能集団の守り神の場合は、門外漢にはご利益はなさそうである。ところが根源を大地の神に還元すると、そこから豊饒・多産、ひいては子授け・家内繁盛とご利益は拡大解釈できるのである。

ここまで書いてきて神社の成り立ちも猫の運命と似ているのに気がついた。ひとつめは、親猫を拾ってきたら、子猫がついてきた。次は捨て猫を拾ってくる。三つ目は持参金付きで子猫をいただいた。最後は、捨て猫をほうりこまれた、という具合だ。神もペットも本来主体である人間が、その従属物として誂えたものが、やがて人間と同等あるいはそれ以上の価値を持ち出したところも似ている。

さて、松尾神社の起源は、穀物神で稲荷神社の祭神でもある宇賀之魂とともに、渡来人の秦氏が守護神として祀ったものだった。それらは故国の神ではなく在地の神であったところが秦氏のすごいところだ。いずれも秦氏の繁栄とともに庶民にも広まった。

(写真・文 柏原林造)

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