ふるさとの史跡をたずねて【108】 長右衛門の供養像(因島重井町善興寺)

長右衛門の供養像(因島重井町善興寺)

重井町善興寺の墓地入口の六地蔵は7月豪雨での崩落で倒壊した。六地蔵の隣に長右衛門を供養する地蔵尊があった。四角な基台に「見岩壽(寿)性信士」と彫ってある。重井村の庄屋、後に因島割庄屋を勤めた六代長右衛門知義の供養像である。

知義は父と共に伊浜新開を開いた人であるが、安永2年8月22日に亡くなっている。二代宗徹からおよそ100年、明治まで100年足らずの1773年であるが、以後、長右衞門家は庄屋をやめ、子らは大坂へ移住する。六代知義に何が起こったのであろうか。そのことを伝える資料はない。

ところで、翌安永三年の村立実録帳がある。そこに「猟師鉄砲持主徳右衛門儀安永二巳八月御仕置被為仰付」とあり、後この鉄砲を望むものがなく村庄屋勘右衛門が預かっている、と書かれている。「徳右衛門」が「長右衞門」の間違いだとしたら、仕置になったということであろうか。

これが人口1389人、家444軒、牛72頭、船17艘の重井村で、前年に起こった「事件」を伝える唯一の資料らしきものである。

そしてその理由が、長右衛門物語によって説明されてきた。その多くは明治になって学校で教えるために作りなおされたものだろうから、どこまで信じてよいかわからない。

(写真・文 柏原林造)

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