高校受験案内【2】瀬戸田高校 普通科の一層の充実 小規模校の長所生かす

掲載号 08年11月15日号

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 県立瀬戸田高校の佐藤正校長は、「小規模校の良さを徹底的に生かして、多様な生徒たちの志望に沿った個別指導をいっそう強めていきたい」と語る。

 同校は、創立83年の伝統を誇る島の普通科高校である。生徒数は106人で、各学年とも2クラスの少人数指導体制をとっている。

 敷地面積が広島市民球場の1.5倍、生徒4人に一人の教員という、恵まれた環境にある。

 2年生からコースが、進学のアカデミックコース(理科系・文科系の大学・短大)とヒューマンコース(美術・保育系の大学・短大)、就職と情報系専門学校などをめざすキャリアコースの3コースに分かれる。

 普通科に求められる大学進学について、佐藤正校長は、生徒の希望に十分応えられると語る。過去3年間の実績では、島根大学、愛媛大学、尾道大学の国公立をはじめ4年制大学の36人、短期大学に17人(そのうち国公立6)、専門学校には67人が進んだ。

 同校の定員は40人。それを1クラスにしないで2クラスにし、より密度の濃い指導を可能にする編成にしている。さらに国・数・英について標準と発展の習熟度別のクラスを設け、学力を伸ばす環境づくりを図っている。

 また、国公立をめざす生徒のためにチューター(指導教官)制度を昨年度から導入し、進路にあわせた課題設定、個人添削など個別指導を強化してきた。

 就職は地元造船業をはじめ38人。地域密着型の同校にとって、地元に帰り活躍する人材を育成することは柱となる課題である。

キャリア教育の成果土台に

瀬戸田高校

 進学、就職を問わず、文部科学省から指定をうけ、実施されたキャリア教育(平成16~18年度)の成果がその土台にある。夢を育み目標を設定し、それの実現に向けて行動する生徒を育てることを目標にしてきた。

 一昨年11月、その成果が認められ、優秀校として県内唯一、文科省表彰を受けた。今年度で8年目になる3年生による1年間を通したインターンシップ(就業体験)活動は、普通科として唯一、先駆的に行われてきた。全国からの注目度は高く、学校見学に訪れる関係者が後を絶たない。今年も北海道や静岡県の高校から見学に訪れた。

 2年生は、カッター(大型ボート)訓練を選択科目に取り入れている。今年度からは、同校の環境を生かして、ヨット、カヌーの技能習得、ライフセービングに貢献できる能力の育成を教科に取り入れた。尾道市の施設であるB&G海洋センターの協力を得て、自然に親しみ自然の危険を学ぶ。

 学習面の充実とともにクラブ活動も活発だ。とりわけ弓道部が目立つ。さらに全体的な活性化を目指す。

 学習、部活、生徒会活動などの豊かな生活が伸びやかにバランスよく送れる学校になっていると校長は自負する。学校教職員が心をひとつに一丸となって取り組む体制が強まっていることへの自信がみなぎっている。

 9月に行われたオープンスクールには地元の瀬戸田中と生口中などから生徒が訪れた。模擬授業、クラブ活動を見学。関心の高さを示した。地元の生徒を受け入れる環境が年毎に充実してきていると言えよう。

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