もうひとつの横浜戦後史 映画「ヨコハマメリー」

掲載号 08年06月28日号

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 横浜をはじめ、連日満員の大ヒットを記録し、「メリーさんブーム」まで生み出したドキュメンタリー映画「ヨコハマメリー」が、因島大空襲記念日の7月28日に因島で上映される。

 県下では広島市での公開につぐ上映である。それに合わせて中村高寛監督と映画評論家・白井佳夫氏が来因する。

 「ヨコハマメリー」は2005年、中村監督30歳の時の監督デビュー作品。上映時間92分。取材2年、撮影3年、合わせて5年の月日をかけた。

 作品DVDの紹介は、「かつて、ひとりの娼婦がいた 彼女の名前は、ハマのメリー」から始まる。そしてさらにつづく。

 ―顔を白く塗り、貴族のようなドレスを着た老婆がひっそりと横浜の街角に立っていた。本名も年齢すらも明かさず、戦後50年間、娼婦としての生き方を貫いたひとりの女。やがてそれは横浜の風景の一部となっていった。

 彼女とかかわった人々へのインタビューを通じて、もうひとつの横浜の戦後史が浮かびあがってくる。


中村高寛(なかむらたかゆき)

 横浜市生まれ。33歳。1997年、松竹大船撮影所よりキャリアをスタートし、助監督として数々のドラマ作品に携わる。1999年、中国・北京電影学院に留学し、映画演出、ドキュメンタリー理論などを学ぶ。帰国後、「龍影」に参加し、在日中国人の李纓監督に師事。映画「味」の助監督を務めた後、2005年「ヨコハマメリー」で監督デビュー。文化庁記録映画優秀賞、ヨコハマ映画祭新人監督賞、藤本賞新人賞など、9つの賞を受賞。話題の「靖国YASUKUNI」(李纓監督作品)の助監督を務めている。

白井佳夫(しらいよしお)

 日本を代表する映画評論家。1932年神奈川県生まれ。1958年早稲田大学演劇科を卒業しキネマ旬報社編集部入社。その後編集長。現在はフリーの評論活動。東京芸術大学で一時、映像・舞台芸術教室を開講。著書に「黒白映像日本映画礼賛」(文藝春秋社)「日本映画黄金伝説」(時事通信社)など多数。因島と瀬戸田との縁は強く、訪れるのは今回で5回目。因島産ハッサクは大好物であるという。

【問い合わせ】TEL0845・22・7135(青木)

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