2008年5月24日 / 最終更新日 : 2008年5月24日 times せとうち花壇 おとといより上手になりし鶯が裏の藪より表にまわる 山崎勝代 作者の五感は確かで、命あるものの輝きに敏感に反応するらしい。鳴声に注目している作者の期待に反し、その鶯は藪裏から表になかなか回れない。それで、作者のイライラはつのる。
2008年5月17日 / 最終更新日 : 2008年5月17日 times おかめはちもく しまなみ海道各観光地のゴールデンウィーク 観光客前年下回り 関係者は浮かぬ顔 しまなみ海道沿線島しょ部の各観光地のゴールデンウィークは軒並みに観光客が前年同期を下回り関係者は浮かぬ顔。全線開通時には交通渋滞ができるほどで観光スポットの駐車場は満車で悲鳴をあげていたのが嘘のようで語種(かたりぐさ) […]
2008年5月17日 / 最終更新日 : 2008年5月17日 times せとうち花壇 藤の花垂るるゴザに輪となりて唱歌に丙も口合せ歌う 小林 基美 どこかの咲き垂れた藤棚の下に小学校時代のクラスメートが集っての小宴会が今たけなわというところである。藤苑の事務所で借りて来たゴザ上に十人くらいが輪になって、小学唱歌かナツメロでも歌っているのだろう。歌の上手 […]
2008年5月10日 / 最終更新日 : 2008年5月10日 times おかめはちもく 日本人はそんなに不幸じゃないはずだ ゴールデンウィーク(4月25日 – 5月6日)は大きな異変もなく、マスコミ各社は毎年のことながら帰省とUターンラッシュを点描。「平和なニッポン」にホッとする一コマと「これでいいのか」という不安にさいなまれる […]
2008年5月10日 / 最終更新日 : 2008年5月10日 times せとうち花壇 縫う描く両手十指の健やかも八十半ばを視覚障害 小林美津子 この一首から「老い」を考えた。以下は老いるという心身の変化に、どう処するかの素人考えである。 貝原益軒翁の言を引けば『生まれつきたる天年(寿命)は多くは長く』、また『心は楽しむべし、苦しむべからず』とある […]
2008年5月3日 / 最終更新日 : 2015年6月6日 times おかめはちもく 造船景気のなか「因島サティ」が11月末で閉店 造船景気で因島周辺島しょ部は活気をとり戻しているというのに「因島サティ」が11月末で閉店するという。 現在は大手スーパーマイカル(大阪市)が運営する商業施設だが、ニチイ時代が長かった。鉄筋4階建てで売り場面積は1・2・3 […]
2008年5月3日 / 最終更新日 : 2008年5月3日 times せとうち花壇 寺の苑われとボタンは傘のうち春の愁いのいつかほぐれる 味呑 泰子 人によって花の好みは異なるが、一輪の花の中では、ボタンの花が花の王者のように言われている。昔から奇麗な女性のことを指して「立てばシャクヤク座ればボタン歩く姿はユリの花」と俗謡的に言われているとおりに美しい花 […]
2008年4月26日 / 最終更新日 : 2015年7月21日 times おかめはちもく 消えた因島のアサリ 里海(さとうみ)再生は始まる 因島周辺の浜辺からアサリの姿が消えた。水ぬるむ3月から5月のゴールデンウィークにかけての大汐の干潮時には砂浜や沖の洲で潮干狩りを愉しむ風景が見られたが、いつの日か遠い昔の残映としてなごりをとどめるようになった。 行政や漁 […]
2008年4月26日 / 最終更新日 : 2008年4月26日 times せとうち花壇 テレビ消し静かな部屋に初夏の風そろりと入りカーテン揺らす 増成君子 「テレビ消し静か」と「カーテン揺らす」がよく効き、その場の情景が見え、また言語表現は新鮮だ。 「初夏の風そろりと入り」という擬人化も、自然の無意(偶然の事象)と、人間の有意(統計的に必然と思われる事象)の絡 […]
2008年4月12日 / 最終更新日 : 2008年4月12日 times おかめはちもく 女は思い通りの人生を選べないが囲碁は思い通りに石を進めることができる 今年のNHK大河ドラマ「篤姫(あつひめ)」は、宮崎あおいの熱演と大物俳優が脇を固めていることで重厚な映像に仕上がっている。
2008年4月12日 / 最終更新日 : 2008年4月12日 times せとうち花壇 介護受け声大にして「ありがとう」生きいる命の輝きを見る 村上冨美子 輝くという現象があって、「きらきら照りきらめくこと」とされる。広辞苑には近世前期までは清音との添書きがあり、人々が「かかやく」以上に「かがやく」を選んだ、近世的願望の強さが偲ばれる。
2008年3月29日 / 最終更新日 : 2008年3月29日 times せとうち花壇 吾と違う歩幅もちいる妹の絵の向日葵をかくも気に入り 山崎 尚美 人の性格はそれぞれ異なるが、とくに姉妹の場合、互いの寛容の幅が(兄弟に比べ)広そうに見える。 さて、この一首「違う歩幅」と表現されているのは、広い意味の性格差で、互いに相手を尊重されている。たとえば「私と […]
2008年3月29日 / 最終更新日 : 2008年3月29日 times おかめはちもく 小泉チルドレン「お国替え」メディアのあり方に疑問 このところ政局は解散・総選挙がらみと受け取れる国民不在の国会が続いているが、与野党とも選挙準備が間にあってないのが現状だろう。そんな中でメディアは小泉チルドレンの「お国替え」情報を頻繁に報道する。
2008年3月1日 / 最終更新日 : 2008年3月1日 times せとうち花壇 ひとしきり風吹き過ぎる畑に立ちもうすぐ弥生何を植えよう 岡本美穂子 ひとしきり風が吹き過ぎた。朝からの野良仕事で額に汗が滲む。もうすぐ弥生、作者は、弥生の風はそよ風、春風、いや万物を成長させる恵風か、春風の意なら穏やかな和風に床しさ一点を与えたいと思われ、野良仕事の汗を拭き […]
2008年3月1日 / 最終更新日 : 2015年5月16日 times おかめはちもく 春一番と風神 先週末から月曜日にかけて強風が吹き荒れた。「春一番」かと思っていたら、気象予報官はそうでないという。春一番は凍るような強風ではなく「立春から春分までの間に初めて吹く暖かく強い南寄りの風」を指す。 このころは、春到来を思わ […]
2008年2月23日 / 最終更新日 : 2008年2月23日 times おかめはちもく 尾道市2008年度当初予算案 農林水産業への投資が注目 世界遺産推進はひと休み 2市3町が合併して誕生した尾道市の舵取りに選ばれた平谷祐宏市長が就任10ヵ月で初めて臨んだ2008年度当初予算案は後継者問題などで持続が危ぶまれている農林水産業への投資が注目される。
2008年2月23日 / 最終更新日 : 2008年2月23日 times せとうち花壇 紅白と絞りと紅の咲き分けの椿に来る人皆褒めくれる 林原 澄子 花好きな人には悪人はいないという。ああきれい、わあ、と、感嘆詞と声を上げながら花に見入っている人は幸せ一杯の人である。また、花作りをする人も、芽が出た、蕾が来た、咲いたよ、虫にやられた、と一輪の花にも一喜一 […]
2008年2月16日 / 最終更新日 : 2008年2月16日 times せとうち花壇 後向き階段下るをいぶかりて人ら笑えど楽な足どり 渡辺スズ子 覚醒という言葉があって、目から鱗が落ちるという意味も持つようだ。作者は階段を下りるのに後向き、つまり階段を上る姿勢で下りられた。普通、このような姿勢は幼児パターンとされ、生活の知恵者と評される熟年の方には凡 […]
2008年2月16日 / 最終更新日 : 2008年2月16日 times おかめはちもく 人類とお酒の関係 洋酒や焼酎ブームで趣好飲料酒の脇役になっている日本酒。それでも醸造元は平成17年度国税庁酒税課調べによると鹿児島県を除く北海道から沖縄県までに2056場あるという。
2008年2月2日 / 最終更新日 : 2008年2月2日 times おかめはちもく 29日朝の雪 恵方巻 1月もあとわずかになった29日朝、因島の大山トンネルを出ると因北は一面雪化粧。雪道に慣れていないマイカー通勤族はひやひや運転。因南と因北では2度の温度差があるといわれるが、幸い路面の凍結はなく雪による交通事故ニュースは […]
2008年2月2日 / 最終更新日 : 2008年2月2日 times せとうち花壇 双子座の横に大きな赤き星イルミネーションに勝る火星よ 岡野幸子 作者は「火星よ」と呼びかけられている。そこで作者のいわれる「火星」を知りたく思った。 多数の電灯で飾った展示物をイルミネーション(電飾)という。この電飾は美しく個性的で街角を飾るには好個の素材だ。だが、ある […]
2008年1月26日 / 最終更新日 : 2008年1月26日 times おかめはちもく 福田康夫首相国会施政方針 どこまで通じた「井戸掘りの格言」 「井戸掘りて、あと一尺(約30センチ)で出る水を、出ないとやめる悲しさ」―碁聖・本因坊秀策の兄孫にあたる因島外浦町、石切風切宮創始者故桒原八千夫宮司から戴いた直筆の短冊である。年齢、職業をとわず心の中に思い当たる哲学的 […]
2008年1月26日 / 最終更新日 : 2008年1月26日 times せとうち花壇 小春日の桃剪定はのどかなり一羽の小鳥近く寄り来て 宗近陽三郎 去年の剪定作業は、風があって寒い日であったが、今年はここ数日風もなく小春日和が続いていてありがたいありがたい。お陰で仕事へのかかりも気持がよい、それに近くの桃の木に小鳥も来ているではないか、なーんと長閑(の […]
2008年1月19日 / 最終更新日 : 2008年1月19日 times おかめはちもく 青山五郎さんの思い出 国内最大の紳士服販売チェーンに育てあげた青山商事(本社・福山市)の創業者で、会長の青山五郎さん(77)が15日倉敷市内の病院で死去したという訃報。昨年6月半ばごろから体調不良のため療養生活を続けていたと聞き見舞いに行こ […]
2008年1月19日 / 最終更新日 : 2008年1月19日 times せとうち花壇 希望とはささやかなもの手の中に包みて埋むる緋のチューリップ 池本 滝子 希望とは「あることの実現をのぞみ願うこと」とされる。作者は自身の希望を「手の中に包みて埋むる」と詠み、物として「緋のチューリップ」とされている。 つまり作者の希望は、財物でなく、ひそかな想いかもしれない。し […]
2008年1月12日 / 最終更新日 : 2019年12月30日 times せとうち花壇 年に一度便りを交わす年賀状添書ありて心ときめく 年に一度便りを交わす年賀状添書ありて心ときめく 山本 福子 このように年一回の年賀状交換のおつきあいの人も多いことだろう、と言うよりも、年賀状を出す人の半分はいると思う。しかし、印刷文字ばかりの挨拶状の片隅に、小さい文字 […]
2008年1月1日 / 最終更新日 : 2008年1月1日 times おかめはちもく 窮鼠猫をかむ 波乱の年明けの予感 最寄りの寺院の除夜の鐘が鳴り始めると深夜の屋外は急ぎ足で初参りする人影が増えてくる。「あけましておめでとうございます」と新年の慶賀を交わす風景を境内のかがり火が照らす。
2008年1月1日 / 最終更新日 : 2008年1月1日 times せとうち花壇 にこにこと男孫来たりてガラス拭き正月二日を東京に立つ 安川二三子 新年の帰省について、事前の一報はあったと思われるが、年の瀬の二十九日に、「おばあちゃん、来たよ」と、にこにこ顔の男孫が東京からやって来たのである。
2008年1月1日 / 最終更新日 : 2017年11月25日 times せとうち花壇 音たてて北風よわが胸に吹け豊けき遥ろけきもの携えて 毎年、元旦に本作品の「豊けきもの」、「遥ろけきもの」を、約35年間も想像し続けているが、いまだにその姿が見えない。その理由は、私が「見えなくてもよい」と思っているからだろう。 「豊けきもの」とは何か。最近になって「命の連 […]
2007年12月29日 / 最終更新日 : 2007年12月29日 times おかめはちもく 2007年の因島を振り返る 平成19年もあとわずか。この1年、さまざまな出来事が通り過ぎていった。昭和28年、7ヵ町村が合併して因島市が誕生して約半世紀。造船城下まちとして栄枯盛衰の道をたどり平成の大合併で尾道市へ編入合併。市と市が合併した例は珍 […]