藤の花垂るるゴザに輪となりて唱歌に丙も口合せ歌う

小林 基美
 どこかの咲き垂れた藤棚の下に小学校時代のクラスメートが集っての小宴会が今たけなわというところである。藤苑の事務所で借りて来たゴザ上に十人くらいが輪になって、小学唱歌かナツメロでも歌っているのだろう。歌の上手も下手もみんな知り尽くした仲でもあって、気にかける必要はないらしい。


 この歌の中に「丙」という文字がある、この字が短歌を面白くしている。昔と言っても昭和のはじめごろまでは、何にでも、甲(こう)乙(おつ)丙(へい)丁(てい)という、成績やランク付けをする決(きま)りがあった。男子が二十歳になって徴兵検査(兵隊になる)を受けた時の合格者の序列付けに、この甲・乙・丙がつけられていた。甲種合格というのは、どこから見ても文句の付けどころの無い体格の男と言われており、戦争に真っ先にとられ死んでいった甲クラスの若者達であった。
 小学校の通信簿の成績も当然この甲乙丙丁の決りがあった。頭の良い者、真面目な者、よく言うことを聞く者、器用な者、その反対に不真面目、不器用、勉強嫌いもいたであろう。人が人をランク付けするのは今も昔も同じである。
 話は元に戻って、唱歌の丙というランク付けは気には入らないが、わしはわしなりに生きて来たんだという小学唱歌の大合唱である。甲も丙も昔語りであって満足感に浸っているひと時である。
 桜の花見の次は、藤の花見である。藤は藤色と言われるほどに桜のような派手さはないけれど、日本人好みのする淡い紫がよい。近ごろは品種改良が進み、野生種から園芸種が増え、花房の一メートルを越える長さのものもある。藤苑も近場では西条(東広島)の藤棚。世羅町の藤棚はいずれも見ごたえがあって一日行楽には向いている。
(文・池田友幸)

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